博士や研究者にとって、GoogleScholarは研究に必要不可欠なツールの一つです。
- GoogleScholarの便利な使い方は?
- GoogleScholarの注意点や、開けない時の対処法は?
- 論文検索AIサイトのElicitとは?GoogleScholarとの違いは?
今回のブログ記事では、上記のような内容ををまとめました。
過去の文献、または最新の学術論文を適切にリストアップして内容を読み込み、自分の研究にオリジナリティを出す作業は「研究の基礎」と言えます。
この記事を読んでGoogleScholarの基礎知識、使いこなすコツ、アクセスできない場合の解決策などを理解しておきましょう。
Google Scholarとは?
研究者にとって欠かせないツールとなっている「Google Scholar」の基礎的な情報について触れておきます。
Google Scholarは、学術論文、学位論文、書籍、特許などの学術的な資料を包括的に検索できる無料のウェブサービスです。その他、学会発表のスライドや報告書なども検索できます。
2004年にベータ版として一般公開され、今ではすっかり無くてはならない存在になっています。
(※かつては紙の論文のアブストラクトに全て目を通し、どの論文をじっくり読むかを判断していました…。)
GoogleScholarの検索機能は誰でも利用でき、Googleアカウントを作成するとお気に入り機能などが利用できます。すべて無料です。
なお、GoogleScholarのキャッチコピーとして「巨人の肩の上に立つ」という言葉があります。アイザック・ニュートンの書簡がもとになっているようですが、「先人の研究成果のおかげでより遠くまで見通せる」といった意味が込められています。
博士がGoogle Scholarを使いこなすべき理由
博士にとって、研究活動の中で「論文の検索と読み込み」は常に付きまとう作業になるでしょう。
GoogleScholarを使いこなすことで関連論文や研究成果にアクセスし、その分野の最新のトレンドや過去の研究成果をピックアップできます。その中で、既存の文献にて未解決の問題や、発展の可能性を特定し、独自の研究テーマを見いだせることもあるでしょう。
また、博士論文においては「既往研究とのつながりや文脈、新規性や意義」を明確にしておかないと、研究の軸がぶれて苦労することになります。
博士にとって、GoogleScholarを使いこなして文献調査のきっかけを得るのは、基礎中の基礎でありつつ、非常に重要なポイントでもあるのです!
GoogleScholarの使い方!便利な検索方法を紹介
GoogleScholarで論文を探す際、便利な使い方やコツを知っておくことで、より効率的な検索ができます!
前提として、Google検索では、「文章」を入力してもある程度正確な検索結果が返ってきます。
ただし、Googleスカラーでは、文章形式ではなくキーワードでの検索が有効です。(基本的には英語で利用します。)
以下、使い方のコツ3つを紹介します。
①狭いキーワードから広げていく: 初めは狭めのキーワードでピンポイントに検索してみましょう。その後、必要に応じて、少しずつ関連キーワードや引用文献にも視野を広げていくと全体像が分かりやすいです。
②OR検索やNOT検索を使いこなすと、目当ての論文にたどり着きやすい: 同じ概念を表す異なる言葉で「OR検索」することで、より多くの関連論文を見つけることができます。また、自分の研究と関係ないものを除外するために「NOT検索」も有効です。
例えば、「AI OR 人工知能 OR 機械学習 -生成」とすることで、幅広いAI関連の論文を検索しつつも、生成AIについては触れていないものをピックアップできます。
③絞り込みや並べ替えも便利:Googleスカラーの検索で出力された結果の中から、「期間」「著者」「言語」などで絞り込みもできます。また、日付順や関連性で並び替えることも可能です。
以上のように、自分に必要な論文を検索できたら、それをPDFファイルとして閲覧・ダウンロードできる場合もあります。さらに大学の学内データベースと連携することで、より多くの論文を閲覧することができます。
論文の引用数や、引用元も簡単に把握できる
論文検索の画面中で、その論文がどのくらい引用されているかも確認できます。
「引用元:10」と表示されていれる数字が被引用数ですね。
影響力の高い論文を見つけることができますし、その論文の引用元も辿っていけるので読むべき論文が次から次へと見つかるわけです…!
また、この引用数の表示は「自分の論文がどのくらい引用され、影響力を持っているか」を確認するのにも使えます。(自分の論文が、研究室内ではなく、赤の他人から引用・参照されているのを見つけると嬉しい気持ちになりますよね!)
GoogleScholarは論文検索以外にも便利な機能がある!
GoogleScholarの便利な使い方は論文検索だけではありません。
- マイライブラリ機能
- 引用の書き方を参照できる
- メールアラート機能
- 著者プロフィール
上記4つの機能も魅力的なので、ぜひ使いこなしましょう!簡単に解説します。
マイライブラリ機能
Googleスカラーのマイライブラリ機能では、気になる論文を保存&整理することができます。
論文検索結果の中の「☆」マークを選択すると「★」に色が変化し、マイライブラリに登録されたことを意味します。
また、マイライブラリでは、ラベルを作成して文献を整理できます。
特定のプロジェクトや研究テーマごとにラベルを作成し、それぞれのフォルダに関連する文献をまとめると便利です。マイライブラリを上手に活用し、いつでも目的の論文を参照しやすいように整理しておきましょう!
引用の書き方を参照できる
論文執筆する際は、参考論文・引用論文をリストアップしなければなりません。
その際、GoogleScholarの【引用】というアイコンをクリックすることで、論文タイプごとの書式を参照することができます。
上記のマイライブラリ機能で、自分の論文に掲載するものをピックアップしてまとめておき、【引用】機能を使うことで時間短縮ができます。
メールアラート機能
Google Scholarのアラート機能を活用すると、特定のキーワードや著者に関する新しい論文が発表された際にメールで通知を受けることができます。
複数のアラートを設定しておくことで、新しい文献が利用可能になるたびに通知を受けることができ、最新の研究情報・方向性をキャッチしやすくなります。
著者プロフィール
Google Scholarには著者の公開プロフィールページを作ることができます。
著者の研究業績や論文の被引用数が表示されます。このプロフィールを登録しておくと、著者名で論文検索をしたときにプロフィールページが上部に表示される仕組みになっています。
自分の過去の研究成果や、最新の情報について知ってもらうきっかけになるでしょう。
GoogleScholarを使う上での注意点
ここではGoogleScholarを利用する上での注意点を3つ、紹介していきます。
論文の網羅性に限定がある
GoogleScholarは包括的な論文検索サイトである一方で、世界中のすべての論文を網羅しているわけではありません。
GoogleScholarに登録されていない論文サイトも存在しており、それらの論文は検索結果に表示されません。
論文の品質を担保するものではない
GoogleScholarに掲載された論文は、専門家によって精査・整理されたものではありません。
論文の品質は取得元に大きく依存します。つまり、低品質なジャーナルの論文を掲載していることもあるのです…。
ScopusやWeb of Scienceなどの学術データベースとは異なるので、それぞれの特性を理解して活用することが大事です。
論文の閲覧制限もある
GoogleScholarで表示される論文すべてが自由に閲覧できるわけではありません。
最近はオープンアクセスの考え方が広がっており、無料でPDFをダウンロードできる論文も増えていますが、知名度が低い雑誌や古い論文の場合、閲覧やダウンロードができないことも少なくありません。
「Unpaywall」というブラウザ拡張機能を活用することで、目的の論文が無料で利用可能かどうか確認することもできます。
いずれにしても、論文を探す時のきっかけにはなるので、どんどん検索してみましょう!
自分なりの便利な使い方を見つけよう!
GoogleScholarの基礎的な使い方について紹介してきましたが、正直、博士学生であれば知っている内容も多かったのではないでしょうか。
GoogleScholarを使って何をしたいのかという「目的」に合わせて、自分なりの使い方を見つけると効率アップできるので、色々と試してみましょう!
例えば、著者名で検索すると、論文内に所属先が必ず書かれているはずです。その所属研究室をGoogle検索することで、より俯瞰した情報が見つかるかもしれません。また、日本人研究者の場合は、研究室HPを表示させることで、日本語論文が掲載されている可能性もあります。
また、技術的な最新情報について調べたいときは、期間を最新順に並べ替えたり、期間指定をしたりすると効率的でしょう。
また、検索言語の縛りを設けずに、例えば「枕草子」だけではなく「makuranosoushi」で検索してみるのも良いでしょう。色々と試行錯誤しつつ、研究活動に活かしましょう!
Google Scholarが開けない時の対処法5つ
Google Scholarにアクセスできない場合、以下5つの対処法を試してみてください。
①インターネット接続の確認: まず、インターネット接続が正常であることを確認しましょう。他のウェブサイトにアクセスできるかどうか確認し、必要に応じてルーター再起動も試してみてください。
②ブラウザの問題: Google Scholarが正常に動作しない場合、別のウェブブラウザを試してみましょう。ブラウザのキャッシュやクッキーをクリアすることで解決することがあります。
③端末の問題:パソコンやスマートフォンに不具合が出ている可能性もあります。再起動を試してみましょう。
④Google Scholar側のエラー:Google側のサーバートラブルなどが発生している可能性があります。SNSでリアルタイム検索をしてみましょう。復旧を待つしかない場合もあります。
⑤一時的なアクセス過多/Googleのセキュリティの反応:Googleスカラーにアクセスしすぎると、一時的に開けなくなることがあります。また、「お使いのコンピュータネットワークから通常と異なるトラフィックが検出されました」といったメッセージが来ることもあります。その場合は、Googleがセキュリティ対策で一時的にアクセスを制限していますので、時間を置いて試してみましょう。
また、中国・北朝鮮・キューバ・イランなど、Googleサービスが使えない国もあるため、留学や出張の際は事前に確認しておくとよいでしょう。
論文検索AIサイト「Elicit」も便利
2022年にリリースされたAIサイト「Elicit」も、多くの研究者が有効に活用しています。
「Elicit」は、Google Scholarとは異なり、あなたが読むべき論文をAIが自動検出してくれる先進的なサービスです。
しかも、ElicitはAbstractを簡潔にまとめてくれるため、論文の主旨をすぐに確認できます。
時間を節約しながらも自身の研究に適した論文を網羅的に見つけることができるため、研究者の間で「驚きと喜びの声」が出ています!
ただ、日本語には非対応なので、すべて英語での入力・出力になっています。また、最終的なファクトチェックは欠かせません。
ElicitとGoogleScholarの両方を上手に使うことで、効率的に論文検索と文献調査を行うことができるでしょう。このような有用なAIサイトは、積極的に活用していきたいですね!
まとめ
今回のブログ記事では、GoogleScholarの使い方と、開けない時の対処法、そしてAIツール「Elicit」についても紹介してきました。
- Google Scholarは世界中の論文を調べられる検索サイト
- 検索の条件設定や絞り込みで効率アップできる
- アラート機能やマイライブラリの活用が便利
- 他の論文検索サイトや、AIツール「Elicit」との併用がおすすめ
Google Scholarの正しい使い方をマスターして、効率的に活用しましょう。
「巨人の肩の上に立つ」というGoogleScholarのキャッチフレーズの通り、先人の研究成果に感謝と尊敬の気持ちを持ちつつ、自分もその学術研究の世界に貢献する気持ちで頑張りましょう!
少しでも参考になっていれば幸いです。
コメント