他の博士学生がどのように就活を進め、内定を獲得しているのか、気になりませんか?
今回は、博士後期課程2年の6月末に大手製薬企業から内定を獲得した医科学系専攻の学生に話を聞くことができました。
志望企業への「就活成功例」として、リアルな体験談を参考にしてみましょう!
Q.就活のスケジュールは?いつからどのように動き始めましたか?
本格的に就職活動を意識し始めたのは、博士課程1年生(D1)の1月〜2月頃だったと思います。
博士の就活は修士よりもスケジュールが早く、「早期選考」というものがあると聞き、まずは博士・院生向けの就活サービスに登録し、情報収集をスタートさせました。
特にD2の4月、5月は研究以外の時間をすべて就活とインターン選考に充てました。
時間を区切らないとずっと研究を続けてしまうので、「今日の研究は21時まで」と決め、日々のスケジュール管理にも気を配っていましたね。
時系列でまとめると、以下のような就活スケジュールだったとのことです。
- D1の2月: 情報収集と並行し、博士情報エンジンwakateの「ESの書き方セミナー」などに参加。自己PRの仕方を学ぶ。
- D1の3月: 研究に集中するため、就活は一時的にストップ。
- D2の4月: 大手製薬企業のマイページがオープン。本命企業の説明会に参加しつつ、5月中旬締切のESや研究概要の作成に着手。同時に、面接練習を兼ねてサマーインターンの選考にも挑戦。
- D2の5月: 製薬会社2社にESを提出。5月末に1社目の一次面接を受けるも、不合格。
- D2の6月: インターンの面接を数回経験しながら、2社目の製薬企業の選考が始まる。一次面接、最終面接を経て6月下旬に内定を獲得。面接後、その日のうちに内定通知があり、即決したため、ここで就職活動を終了。
最終的に本選考にエントリーしたのは2社のみで、そのうち1社から内定を獲得されています。
Q.エントリーシートや研究概要は2社とも通過していますが、意識したことはありますか?
全体で気をつけたことと、研究概要で気をつけたことの、大きく分けて2つあります。
全体を通しては、当たり前ですが、誤字脱字・論理の飛躍には特に気をつけました。恥ずかしい気持ちもありましたが、周りの人にもESを見てもらい、客観的な意見を参考にしました。
研究概要については、学会発表で書く「要旨」よりも広く一般化して、別分野の人が読んでも伝わるように意識しました。また、企業のビジョンとマッチするような書き方を心がけました。
より具体的には、以下のようなポイントに注意したそうです。
- 研究の背景・まとめを工夫
専門外の人事や研究者にも伝わるよう、研究背景は広く、一般的で抽象的な内容から記述した。まとめの部分では、「自分の研究がその企業でどのように応用でき、役立つのか」という将来性を重点的にアピールした。 - 志望動機の説得力
「自分のやりたいこと」と「企業が目指す方向性」が一致していることを論理的に示すことを重視した。企業に寄り添うだけでも、自分のやりたいことを一方的に語るだけでもダメ。そのバランスを意識した。
ちなみに研究紹介のボリュームは、1社目は2枚、2社目は4枚で、コンパクトにまとめる方が難易度が高かったそうです。
Q.面接はいかがでしたか?事前に練習や対策はされましたか?
面接の練習は特にしませんでした。ただ、「練習しておけばよかった…」という反省はあります。
事前の面接対策はできなかったものの、採用選考と並行するような形でインターン選考で面接をしていました。
結果的にインターンは断ってしまったので担当の方に申し訳ないですが、実践的な面接の練習としてすごく良い経験になりました。
面接で聞かれたことや意識したことをまとめると、以下のようになります。
- 一次面接(現場の上司に当たりそうな人)
「この人と一緒に実務をやっていけるか」という視点で、研究遂行能力を重点的にチェックされた印象だった。研究の過程で工夫したことや、研究内容についてスライド1枚につき、1〜2分かけて細かく質問された。専門性や研究過程での工夫を深く問われたものと思う。 - 最終面接(役員など)
重点的に見られたのは「あなたの長所は?」「なぜこの会社を志望するのか?」「入社後にやりたいことは?」といった、研究者としての将来性や価値観、人間性の部分だったように思う。一次面接とは見ているポイントが違うものの、事前に予想していたよりは研究内容に関する突っ込んだ質問も多かった。
受け答えの際は、まず結論から話し、相手の反応を見ながら2~3分ほど補足するというコミュニケーションを常に意識されたそうです。
スパッと回答だけ伝えると少し気まずい雰囲気もあったようで、面接官の反応を見ながら、自分から少し補足したりしたそうです。結果的にそれがスムーズな対話に繋がったようで、良かったと振り返っておられました。
もう少し早めに就活に動いておけば、面接の練習をする余裕があっただろう…という反省もあるそうです。
Q.就活において、使って良かったサービスなどはありますか?
博士情報エンジンwakateには相当お世話になりました。
お知らせの新着欄から情報を得たり、エントリーシートの書き方セミナーで腑に落ちる具体的な学びを得たりしました。
その他、客観的な視点を取り入れるため、クラウドソーシングサービスを利用し、同じく製薬業界に内定したD3の人に数千円を支払い、研究概要の添削を依頼したようです。
第三者の視点で見てもらうことで新たな発見があり、有益だったと答えてくれました。
Q.後輩博士学生へのアドバイスはありますか?
そうですね。たまたまうまく内定をもらえた私の体験談なので、分野や企業によって全然違うと思いますが、いくつかお伝えしたいと思います。
以下の6点について、就活でのアドバイスをいただきました。
- 博士だからと過信しない
「博士」という肩書きだけで優遇されるわけではない、という謙虚な姿勢が重要な気がする。自分の強みを客観的に分析し、それを相手に的確に伝える戦略が不可欠。 - 就活は早めに意識する
私はD1の2月頃から本格的に動き始めたが、本当は年明け頃から情報収集を始め、ESの骨子を考え始めておけば心に余裕が持てただろうと思う。
企業のマイページは突然オープンし、締切まで短いこともあるため、「wakateのお知らせ欄」や、就活情報を発信しているXアカウントなどでアンテナを張っておくと良さそう。 - 研究業績は重要だが学振やTOEICはなくても大丈夫だった
私の場合は、学士、修士までの論文・学会発表を中心的な成果として就活を進めた。論文は筆頭が2本、共著が1本、学会発表は5回、受賞が2回。やはり、コツコツと研究を頑張ってきてよかったと実感する。もちろん博士課程での業績もあった方がいいが…。
学振DCには落ちたが、特に突っ込まれることはなかった。TOEICも取り組む時間はなかったが、最後まで問題にならなかった。 - 日々の研究活動が最高の面接練習になる
研究室のミーティングや学会発表は、研究内容を分かりやすく説明し、質疑応答に対応する絶好の機会。一次面接では、面接官が提出論文を読み込んでいると感じる場面もあったので、日頃から自分の研究について色々な角度から語れるようにしておくのがおすすめ。 - 研究以外の活動が面接で好印象だった
バイオベンチャーのインターンシップや外部のワークショップへの参加経験は、面接での反応が良かったように思う。特に、ベンチャー企業でアルバイトのように実務に携わった経験は、就活においても非常に有効だったと思う。 - 学会で興味を持たれるポイントと、就活で興味を持たれるポイント
学会では細かなアルゴリズムなどに興味を持たれることが多かったが、就活ではそれが製薬にどう活かせるかの部分が重要視されていた。個人的にも、自分の研究が現場で使われることが楽しみで研究のモチベーションにもなっていたので、それをそのまま面接で伝えた。
インタビュアー目線の総括
後輩博士たちの参考になる、具体的な話をたくさん聞かせていただきました。
特に、インタビューしている中でも「素晴らしい」と思っていたのが、結論を端的に答えてから続きを話してくれることです。
「〇〇なことはありますか?」と質問したときに、「あります。」と一言答えてくれるだけで、「ある」ことを前提に話を聴くことができるので、すごくやりやすかったです。
きっと、面接官も同じ印象を抱いたことでしょう。
なお、製薬会社に関しては年々博士向け早期選考スケジュールがさらに前倒しになり、一部の企業ではイベントに参加しないと採用ページURLに辿り着けない仕組みになってることもありました。
研究に忙しい中、すべての採用情報にアンテナを張るのは難しいですが、やはり情報源をいくつか決めて、自発的に探しに行くスタンスは重要です。
D1の時点から、少しずつ情報収集を始められるとスムーズでしょう。
※クラウドソーシングサービスで就活相談をするときの注意点
今回はクラウドソーシングサイトで偶然良い人を選ぶことができ、参考になるアドバイスをもらえたと思いますが、積極的におすすめはできません。
たとえば、修士学生を中心に就活アドバイザーをしてる人にESを見てもらっても、博士の就活においてはだいぶ的外れなアドバイスをされることがあり、修正が大変になります。
サイト上では信頼が置けそうでも、先に支払いが発生する以上、費用対効果は不確定です。結果的に、エントリーシートの質を下げてしまうリスクさえあります。
相談相手が欲しい場合、明確に博士のキャリア・就活について分かっている経験豊富な人に相談するのが望ましいです。
就活を成功させた先輩や同期に見てもらうのも、ひとつの参考になるかもしれません。
まとめ
今回はD2の6月下旬に内定を獲得した博士のリアルな話を聞くことができました。
2025年度は、博士向け早期選考のスケジュールがさらに前倒しになりました。
博士は研究活動中心の多忙な生活になるのは当然ですし、研究に集中するのが何よりも重要であることは間違いないです。
それでも、やはりなるべく早い時期から就活へのアンテナを張っておくのがおすすめです。
今回のような就活イベントも多数開催しているので、興味がある人は「博士情報エンジンwakate」を覗いてみて下さい。
(参考:どこよりも早い博士の内定体験談)


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