博士課程の進学理由は?「迷うならやめろ」は嘘!

キャリア

初めから確固たる意志を持って博士課程への進学を決める人は決して多くはありません。現在、博士課程に進学している人の多くも、迷い、悩みながら博士課程への進学を決断しています。

インターネットを開けば、博士課程への進学を躊躇させるネガティブな情報も多く見受けられます。むしろポジティブな情報に出会うのは至難の業ですので余計に悩んでしまうでしょう。さらに博士課程後のキャリアについても、ポスドクを繰り返しなかなか正規ポストに就けない状況や、企業就職するときのデメリットなど、やはりネガティブな情報が満載です・・・

果たしてこれらの情報はどこまで参考にすべきなのでしょうか?

今回は、まず博士課程への進学で悩む人の声を客観的に見てみましょう。そして、多くの人が気になっている、「修士課程からそのまま博士課程へ進学する」キャリアパスと「修士課程修了後、企業に就職し、社会人になってから博士号の取得を目指す」キャリアパスを比較していきます。

さらに、博士課程進学に迷ったときの対処法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

博士課程進学で悩んだ人の声

Twitterで「博士進学 悩む」というキーワードを含むツイートを検索してみました。限りなくリアルに近い生の声をご覧ください。

多くの人が博士進学について悩まれていることがおわかりいただけるかと思います。資金面も進学のネックの一つになっているようですが、博士進学と企業就職の二択で悩む人が多い印象です。では、博士進学と企業就職の違いはどのあたりなのでしょうか。

博士課程進学と企業就職のキャリア~2つの選択肢~

まず、博士課程への進学についてですが、博士課程では研究活動自体が単位につながるため、ご自身の好きな研究に没頭できることが大きな特徴として挙げられます。また、その研究を通じてこの世でまだ誰も知らない領域にタッチすることになります。しかし、どんなに工学的な研究であろうとも、研究成果を直接商品やサービスに適用することは困難です。一方で、企業では、社会貢献や企業利益が目的として明確に存在しているため、ご自身の研究成果が目に見える形で、世の中に広まることも少なくありませんが、ご自身の知的好奇心を満たすためだけの研究はできません。

また、修士課程から企業就職を選択される方から、企業に就職した上で働きながら博士号を取ればいいという考えを聞くことも少なくありません。しかし、仕事や家族との時間などに加え、博士号取得のための時間を確保することは相当な困難を伴います。そもそも会社が博士号取得を後押ししてくれるかは、その時にならないとわかりません。進学か就職かを検討する際に、就職した上で博士号取得という選択肢を考えることはあまりお勧めできません。

さらに、会社を辞めて博士課程に進学する人も現実にいます。しかし、生活面での経済的な影響は大きく、進学した時点では、修了後の就職先も不透明です。家庭を持っていたら、家族からも理解を得る必要があるでしょうし、誰しもが簡単に決断できる選択肢ではありません。

修士課程修了のタイミングが、自分自身の意思を最も優先して博士課程進学を考えられる時期となるかもしれません。博士課程進学を少しでも考えている方は、大いに悩んでください。

進学を「迷うならやめろ」は嘘?

あなたが進路を迷うのは、それだけ進路に対して真剣に考えていることの証拠でもあります。「悩んだから進学しない」という人もいれば、その一方で「悩んでも進学して良かった!」という人もいます。

悩んだときにはひとりで抱え込まないことが大切です。相談して、周りの意見を取り入れてみましょう。たとえば、「進学してどうだったか」は進学した人にしかわかりませんので実際に博士課程へ進学した先輩に相談することは大事です。また、あなたが教授を目指しているなら、身近な教授に「教授までのキャリアパス」について尋ねるのが手っ取り早いといえます。

しかしながら、相談するときは、人それぞれの立場によりバイアスが掛かっている可能性を認識しておかなければなりません。博士といっても社会人博士や論文博士(つまり就職時は修士)の場合は、状況が異なるでしょうし、博士課程の学生が欲しい教授は進学を推奨するでしょう。また、修士課程を修了して就職した先輩に話を聞いても、博士への道を勧められることは少ないでしょう。就職先で成功していればなおさらです。

相談する相手のバックグラウンドを考慮しつつ、さまざまな意見を聞き、“自分にとって”最良のキャリアパスを考えていくことをおすすめします。

最後に決めるのは自分!

進路選択で悩んだら教授や博士課程へ進学した先輩などに相談することが重要ですが、最終的には自分自身でメリットやデメリットをよく勘案して決断しましょう。その際の指標として、次の項目を是非ご活用ください。全て当てはまっているなら、進学後もきっとうまくやっていけるでしょう。

  • 取り組んでいる研究の成果は、多くの人のためになる
  • 研究に必要な技術・ノウハウは、取り組んでいるテーマ以外にも広く長く応用できる
  • 指導を受けている教授・先輩方と研究に関する議論を重ねており、うまくやっている
  • 後輩たちの指導を熱心に行っており、決して苦ではない

まとめ

博士課程への進学の悩みは、誰しもが経験する通過点です。ご自身で情報収集することも大切ですが、その道に進んだ先輩からの意見を取り入れることで、より視野が広がるでしょう。博士課程へ進学した先輩や教授の意見を聞きながら、ご自身にとってもっともよい選択ができるよう自分自身とじっくり向き合ってみてはいかがでしょうか。

コメント