【2025年度】D1/D2/D3の就活および進路についての独自アンケート結果を発表

キャリア

今年も学部、修士生は10月から正式に内定が出て、本格的な就活シーズンがひと段落つきましたね。

そんな中、「正規雇用率が低い」と言われることもある博士学生の2025年度の就職活動は、どのような状況なのでしょうか?

博士情報エンジンwakate」では、昨年に引き続き、博士課程2年目相当(D2)、および3年目相当(D3)の学生を対象に、就職活動に関する独自アンケートを実施しました。(有効回答数108名)

また、今年はD1にもアンケートを行ったため、記事後半で紹介します。(有効回答数31名)

先輩博士学生がどのようにキャリアを切り拓いたのかを参考に、自身の就職活動のイメージも膨らませていきましょう。

【D3】10月時点での就職活動状況は?

博士課程3年相当(2025年度に修了予定)の学生に対して就活状況を聞いた結果は、以下の通りです。

博士課程3年目の10月時点で、51名中40名が就職活動を終えているという結果でした。2026年4月時点での就職を希望する博士学生に聞いていますので、「留学するから就活を中断した…」といったようなケースは含んでいません。

割合にすると、「78.4%」の博士が内定を獲得し、約20%の博士が現在も就活中です。

学部生と比較して、博士学生の方が内定率が高い

上記の通り、就職を希望する博士学生の就職内定率は78.4%でした。

これを、文部科学省と厚生労働省が発表した学部生の内定率と比較してみましょう。

令和7年3月大学等卒業予定者の就職内定状況を共同で調査し、令和6年10月1日現在の状況を取りまとめましたので、公表します。

取りまとめの結果、大学生の就職内定率は72.9%(前年同期比1.9ポイント低下)となりました。

※引用:令和6年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査

上記の通り、学部生の内定率が72.9%なのに対し、博士の内定率が78.4%となりました。

就活に対して比較的積極的な層(wakate登録者)で、有効回答数がそれほど多くないことを踏まえても、博士の就職率は決して悲観的ではないことが分かります。

【D3】内定先の組織種別を教えてください

就職活動を終えたD3の進路は、以下の通りです。

上記の通り、圧倒的に企業への就職が多いことが分かります。

割合にすると、72.5%です。続いて、公的研究機関、行政府、大学と続きます。また、起業した方もいました。

【D2】博士課程2年相当の就活状況について

D2相当(2026年度修了予定)の学生に対しても就職活動アンケートを実施しました。

57名の回答は、以下の通りでした。

上記の通り、D2の10月の時点で、91%の学生が就活を始めています。

また、約14%の博士は就活を終了していますが、内訳を詳しく見たところ、全員が「内定を獲得して終了」していました。

【早期選考アリ】博士学生の就活はいつから?スケジュールと事前準備」という記事でも解説した通り、博士学生には早期選考があり、企業によってはD2の5月頃からエントリーを開始しています。(※年々、早まってきています。)

特に企業就職の場合、D2の10月でも内定を貰えているようです。

【D2、D3】内定先の職種を教えてください

学年に関係なく、内定先の職種を質問した結果です。

75%の博士が研究職に就き、8%が技術職でした。

なお、「その他」の回答としては、教師・薬事・ITコンサルなどが見られました。

【D2、D3】内定先に応募したきっかけ、及び内定受諾の決め手を教えてください

内定先に「応募したきっかけ」と、「入社を決意した理由」を、同じ設問で質問し、比較したグラフです。

応募のきっかけとしては「業務内容」が最も多く、続いて「自分の研究を活かせるかどうか」「社風」が同数で回答が多くなりました。

一方、内定受諾の決め手になると、「社風」「自分の研究を活かせるかどうか」「業務内容」という順番に変わりました。

「業務内容」が自身と一致していることを前提に就活を進め、選考の中で、就職後の働くイメージが強く湧いたかどうかで、最終的な内定受諾を決定していった、ということが伺えます。

その他、「担当教員等からの推奨」も変化率が大きかったです。内定先決断の最後の一押しとして、周りの意見を参考にする人も一定数いるようですが、9割以上の方が、自分の意志で最終的に判断していたようです。

応募のきっかけ、内定の決め手に関するその他の回答

その他、応募のきっかけの自由記述欄には「将来性、収益性、社会貢献性が高いから」、「スカウトが来たため」、「平均残業時間が短く、平均勤続年数が20年以上で働きやすそうだったから」といった回答もありました。

内定の決め手の自由回答欄には、「業界、企業ともに今後の成長が見込まれるため」、「内定承諾前に事業所見学、配属部署の課長との面談、入社後の待遇等とても丁寧にミスマッチの無いように対応していただいたため」、「9月末で後がなかったから」といった回答もありました。

【D2、D3】就職活動中に参加したものがあれば教えてください

回答者のうち、約9割の博士が「会社説明会」には参加していたようです。

大学主催のキャリアイベントは41%、民間サービス主催のキャリアイベント(博士情報エンジンwakate・アカリクなど)は59%、インターンシップへの参加者は38%となりました。

いずれのイベントにも参加しない人は5%のみで、ほとんどの博士学生がイベント等に参加していることが分かります。

ここまでは既に内定をもらった人へのアンケートが続きましたが、以下からは、現在就活中の博士への質問です。

【D2、D3】現在の就職活動で実施、経験したものをすべて選んでください

現在も就活中の博士に向けての設問で、回答状況は以下の通りです。

「プレエントリー、説明会、エントリーシート、面接、内定」という、企業就活のよくある流れに沿う形で、回答数が多くなっています。

一方で、エントリーシートを提出していない人も42%見受けられました。「ESを出す段階まで行ってない人」がほとんどでしたが、内訳を詳しくみると、「ESは出していないけど内定を獲得した人」も少数ながらいました。また、プレエントリー(マイページ登録など)をせずに就活している人の存在も確認できました。

業界、企業によって様々な博士採用ルートがあるため、個人差があるようですね。個別の事例については、wakateのキャリアガイダンスにて紹介しているので、詳しく知りたい方はこちらをチェックしてみてください。

また、12.5%の博士は内定を獲得したものの、就活を続けています。他の回答結果から、こちらの回答をした人は全てD2で、早期選考をしていない企業やアカデミアへの就職を検討しているようです。

【D2、D3】希望する職種をすべて選択してください

博士学生の94%が、研究職に就きたいと考えているようです。

続いて、技術職が42%、その他「営業職」「総合職」「編集者」「エンジニア」「コンサルタント」「MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン )」といった回答もありました。

【D2、D3】希望する組織をすべて選択してください

博士情報エンジンwakate」登録者ならではの回答分布かもしれませんが、企業就職を希望する博士が94%となりました。

続いて、公的研究機関が53%、大学が30%、スタートアップが11%、行政府が8%となっています。

今年度からはD1にもアンケートを行いました。以下、3つの設問と回答を紹介します。

【D1】現時点で、どのような進路を検討していますか?

やはり「企業」への志望度が高く、続いて、公的研究機関、大学となっています。

大学よりも公的研究機関の方が多いのは、少し意外にも感じるところです。

なお、官公庁を視野に入れる博士はいるものの、起業を考えている人は少ないようです。

【D1】就職活動に関して、すでに行っていることを教えてください

D1の10月時点で、7割の博士が「就職先候補の情報収集」をスタートしています。

さらに、53%の博士がキャリアイベントへの参加も行っており、自己分析やESの作成を始めているD1も2~3割程度いることがわかりました。

【D1】インターンシップに応募しましたか?

D1の段階で、インターンに応募している人が17%(5名)いました。

応募予定と合わせると、7割の学生が既にインターンシップに意識を向けていることが分かります。

なお、インターンシップ応募済みと回答した5件の内訳は、以下のようになっていました。

  • 研究インターン:3件
  • ワークショップ中心:1件
  • 説明会が中心:1件

このうち4件は1日のみのインターンですが、研究インターンのうちの1件は、1か月以上の長期インターンでした。

【まとめ】10月時点でD2の14%が内定済み、D3だと78%に!

今回の記事では、「博士情報エンジンwakate」でD1、D2、D3それぞれを対象に就活アンケートを行った結果をまとめました。

博士学生の就職は厳しいと言われることもありますが、D2の10月の時点で内定をもらっている人が14%いました。この方たちは残り1年の博士課程を、研究活動・学位論文作成に専念することができることでしょう。

また、D3になると就職率は約78%になります。これは学部生の内定率よりも高い数値で、「博士は就職難」という言説とは異なる結果が出ています。

特に「博士情報エンジンwakate」に登録している博士は、企業就職への志向性が高く、結果的に企業からの内定が多いという結果になっていました。

研究活動に忙しい博士が、どのように就活を進めていけばいいのか、セミナーやイベント等でサポートしておりますので、参考にしてみてください。

※昨年も同様のアンケートを実施しています。「【独自アンケート】D3の進路は10月時点でどのくらい決まっている?」の記事も合わせて参考にしてみてください。

※今回のアンケートと同じタイミングで博士進学に関する調査も行ないました。「博士進学を迷った?いつ決めた?懸念事項は?」という記事も近日中に公開します。

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