博士の公聴会は、博士学生にとって重要なイベントです。
論文審査委員の前で自身の研究成果をプレゼンし、審議を通過する必要があります。
- 公聴会の流れとは?
- 公聴会での質問内容はどんなものがある?
- 不合格/失敗/落ちることはあるのか?
結論から言うと、公聴会まで進んだ博士論文が不合格になる可能性はほとんどありません。
というのも、公聴会までに事前審査・予備審査等と称して、厳しい審査・指導を繰り返し受けてきたはずだからです。
それでも、公聴会では審査委員から予想外の質問が飛んでくることもあり、緊張のあまり、質疑応答で失敗してしまうこともあります…。
有終の美を飾るためにも、公聴会での質問例や対策について事前知識を持っておくのがおすすめです。一緒に見ていきましょう。
公聴会とは?概要や流れを紹介!
公聴会の流れは、以下のようなパターンが一般的です。(※大学や機関によって異なります。)
- 審査委員や観覧者の前でプレゼンテーション
- 質疑応答(ディフェンス)
- 審査委員会の審議と結果のフィードバック(非公開)
公聴会は通常、博士学生の簡単な自己紹介から始まり、研究の背景や目的、研究方法、結果などを順番にプレゼンします。30分や1時間などの制限時間が設けられていることが多いです。
プレゼンテーションが終わると、審査委員との質疑応答(ディフェンス)が始まります。
審査委員は研究に関して厳しい質問や意見を投げかけてきますが、学生はそれに対して適切な回答を行わなければなりません。
場合によっては、ディフェンスでの追及が白熱し、公聴会全体の大部分を占めることもあります。
公聴会が終わると、審査委員は合否の審議、博士学生へのフィードバックを行います。
なお、公聴会は一般の人も含めて公開されることが多く、開催日時が広くアナウンスされる大学もあります。(参考:芝浦工業大学、近畿大学)
公聴会がディフェンスと呼ばれる理由
公聴会は、英語でディフェンスと呼ばれます。
論文審査委員からの厳しい質問や指摘に対して、一人前の研究者として適切に自分の博士論文を守り、学位を守る、という意味が込められています。
基本的に、公聴会まで進んだ博士論文が不合格になる(落ちる)可能性はありません。
事前審査等で教授陣から厳しいフィードバックをもらい、それを反映した論文になっているはずだからです。(※この事前審査には追試・やり直しもあります)
事前審査の指摘事項を踏まえ、担当教員との確認も済んだうえでの公聴会ですから、基本的には博士論文として認められるレベルに仕上がっているのが前提でのやり取りとなります。
それでも、公聴会当日は追及を受けることが多いのですが、実は、厳しい質疑応答は「通過儀礼」のような側面もあります。研究者として、堂々とディフェンスできるかどうかを試されるのですね…。
公聴会を終えた後、「果たして自分の博士論文は大丈夫なのだろうか…」と不安になる人も少なくありません。
大学によって、公聴会の取り扱いが違う
なお、大学によって公聴会の性質は異なります。
前述のように、公聴会がプレゼンテーションとディフェンスを行う大きなイベントになっている大学もあれば、公聴会は「博士号取得予定者をお披露目するようなイベント」となっている大学もあります。
ただし、その場合にも「審査会」「最終試験」などの名称で、審査委員との厳しい質疑応答を含む審査は必ず行われます。
次に、公聴会でよく出題される質問の種類や具体例について解説します。
公聴会での質問例
公聴会では、審査委員からさまざまな質問が投げかけられます。
時には、厳しく鋭い指摘も入ります。研究内容についてだけでなく、研究者としてのコミュニケーション能力や、緊張状態に打ち勝つ精神力なども試されていると考えて良いでしょう。
就職活動でいう「圧迫面接」のイメージに重なる…という人もいます。「思いがけない指摘が入った時にこそ、人間性が出る」という理由で、あえて厳しい態度をとる審査員もいます。
以下ページにて、公聴会で予想される質問例が記載されています。
- 既存手法に対する優位性、新規性は?
- 話に飛躍があり、繋がりがわかりませんが?
↑プレゼン内容が十分に伝わっていない可能性が高いです。そもそもこのような質問が出ないように、しっかりと準備しましょう。
- この研究に需要はありますか?
- 何が達成できたらゴールといえるのでしょうか?
- 実際のところ、社会にとって何の役に立ちますか?
↑「今後の展望」についての質問が来たら、基本的にはプレゼン内容は伝わったと考えて良いかもしれません。質問に対する回答を、事前に用意しておきましょう。
その他にも、「〇年に出た論文とは何が違いますか?」「この研究内容だと〇〇の分野も近いですが、調べましたか?」など、その場で瞬時に回答するのが難しい質問が飛んでくることもあります。
また、中には事前審査会にも参加していた審査員が、事前審査会で全く触れていない点について、公聴会で初めて質問をしてくる…というケースもありますし、公聴会では別分野の研究者からの質問も出ます。
公聴会での質問は多岐にわたりますので、事前に模擬公聴会などを行い、臨機応変に堂々と答えられるように練習しておくのがおすすめです。
なお、質問への適切な答え方については、以下の記事も参考になるでしょう。
不合格や失敗、落ちることへの心配と、その対策
博士学生が公聴会に臨むにあたっては、「ものすごい緊張感だ」と言う人が多いです。
- 不合格になったら今までの努力が水の泡に…
- 公聴会で落ちることもあると聞いたけど…
- 質疑応答で失敗したらどうしよう…
このような心配が生じるのは自然なことです。
しかし、繰り返しますが「公聴会まで進んだ博士論文が不合格になる可能性は極めて低い」です。ただ極度の緊張から、あまりにもとんちんかんな回答をしてしまった場合などは、審査結果に影響がある場合がありますので、十分な準備・練習は必要です。
自分の研究に自信と誇りを持って、プレゼンテーションとディフェンスを乗り切りましょう。
また、以下のような事前対策もおすすめです。
- 研究内容や関連分野の最新の文献を理解しておく
- プレゼンテーションの練習を何度も行っておく
- 模擬公聴会などを通じて質疑応答の練習もしておく
- 質問例に対する、論理的かつ明確な回答を作成しておく
- 他の人の公聴会に参加し、雰囲気をつかんでおく
- 指導教員や研究グループのメンバーに相談し、助言や支援を受けておく
- 同じ境遇の博士学生と情報交換をしつつ、励ましあう
公聴会は、研究者としてのスキル証明の場であり、成長の機会でもあります。
自身の研究に対する情熱と自信を持ち、前向きな姿勢で公聴会に臨みましょう!
【まとめ】公聴会は質問対策などを万全にして、自信を持ってディフェンスしよう!
博士課程における公聴会は、博士号取得に向けた「重要な最終プレゼンテーションの場」となります。
有終の美を飾り、気持ちよく博士号を取得するためにも、事前準備と質問対策は不可欠です。
「完璧」と言えるほどのプレゼンテーションの練習と、質問への適切な回答を事前準備しておきましょう。それでも、鋭い指摘・厳しい質問が飛んできます。「公聴会とはそういうものだ」と、覚悟して望むようにしましょう!
あなた本来の能力を発揮するため、この記事が少しでも参考になっていれば幸いです。
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