博士号を取得するためには英語力が必須と聞くけれど、どのくらいのレベルを求められるだろうのか…気になる人もいるのではないでしょうか?
- 博士課程で必要な英語力とは?
- 大学院生…英語ができない人は無理?
- TOEICの点数目安、平均はどのくらい?
- 博士課程における英語勉強法とは?
このような情報を、記事にまとめました。
博士後期課程(以下、博士課程とする)では、論文読解・論文執筆・国際学会への参加など、英語の利用は必須。「英語ができない」「英語が苦手」という人にとっては、不安があるかもしれません…。
しかし、専門分野の単語などを地道に理解していけば、実はそれほど高度な英語表現が求められるわけではない、という側面もあります。
以下、博士学生の英語力について、解説していきます。進学を考える修士学生の参考にもなるでしょう。
博士課程で英語力が求められるケース
博士課程では、どのように英語を使うのでしょうか?
大きく分けて以下4つのケースで、英語を使う必要が出てきます。
- 論文の読解
- 論文の執筆
- 国際学会への参加
- 海外留学、留学生との交流
それぞれ、見ていきましょう。
英語論文の読解
研究活動の基礎に「英語論文を読む」という作業は欠かせません。
その分野における先行研究の結果・背景・流れ・流行のテーマなどを知るため、論文を読むことは「博士学生の日常」とも言えます。
研究論文は多くの場合、英語で発表されています。専門用語の単語理解・基本的な構文理解が求められます。また、英語書籍の読み込みが必要な場合もあるため、リーディング力は必須です。
論文を英語で執筆する
博士課程では、英語での論文執筆が最終目標となります。博士論文はもちろんのこと、査読付き学会誌への提出も英語が使われます。
自分の研究成果を日本語で詳しく解説できるようになった段階で、英語でのアウトプットも進めます。
また、英語でのプレゼンテーション原稿を作ったり、海外文献の要旨をゼミで発表したり…ライティング力が必要となるケースも多岐にわたります。
国際学会への参加
博士課程では、国際学会へ参加するケースが増えます。自分の研究成果を英語で発表したり、海外の研究者とディスカッション・質疑応答をしたりと、貴重な経験になるでしょう。
この場合、上述の論文読解・執筆とは異なった意味で「コミュニケーションする英語力」が求められます。日本人が苦手と言われている、リスニング力やスピーキング力が必要となるため、より実践的な英語力を高める必要があります。
海外留学、留学生との交流
博士課程では、海外の研究室に留学する、もしくは自分の研究室に留学生が来るといった機会も少なくありません。
博士学生はチューターの役割を担うこともあり、修士と比較すると留学生との積極的なコミュニケーションが求められます。
自分の言いたいことを伝え、相手の言いたいことを聴き取る、「実践的な英語力」が必要となります。
博士って…英語ができないと無理なのか?
このように見てみると、「博士号を取得するには英語ができないとダメなのか…」と思われるかもしれません。
ただし、博士号取得に必要な英語力は「論文の読み書きに特化した能力」だけでも大丈夫という側面もあります。
もう少し具体的には、専門分野における英単語力を高め、論文で好まれるシンプルで論理的な構文をマスターすることが重要。ネイティブのような総合的な英語力は、それほど必要ないのです。
実際には、博士課程では英語の教科書を幅広く勉強している余裕はありません。専門分野の研究を最優先として、あくまでも英語力は付随する必要能力として捉えてみるといいかもしれません。
自分では「英語が全然できない…」と思っている博士学生でも、博士号を取得することはできるということです。
ただし、将来的に研究者としてキャリアを築いていくのであれば、英語力はやはり「必須」です。
ネイティブのように流暢でなくとも、自分の考えをしっかりと相手に伝える力が必要となります。海外の研究者と英語で議論できるレベルを目指しましょう。
博士課程におけるTOEICの平均点・目安は?
博士課程におけるTOEICの点数は、どのくらいなのでしょうか?
結論から言うと、TOEICのスコアは700~750点以上あれば、ひとまず「問題ない」と言えるでしょう。
院試ではTOEIC600点~700点をボーダーラインとして示している学校が多いです。
(参考:TOEIC Tests 入学試験における活用状況 【2022年度】)
ちなみに、国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の「TOEIC Program 2021年度 受験者数と平均スコア」によると、学歴ごとの平均スコアは以下の通り。
- 学部3年:513
- 学部4年:548
- 修士1年:553
- 修士2年:592
- 博士1年:639
- 博士2年:614
研究活動に忙しくて試験対策をする暇がない博士学生ですが、学部生や修士生と比較しても、高得点を獲得していることが見受けられます。
ただ、日常的に英語論文と向き合うことになる博士学生ですが、TOEICスコアはそれほど高得点を求められるわけではないとも言えそうです。
「英語がそれほどできない人でも博士になれる」という声は、このようなデータからも読み取れます。
TOEFLスコアが使われることもある
院試でTOEFLスコアを用いるケースもあります。また、留学の可能性がある博士学生は、TOEICよりもTOEFLのスコアが重要になってきます。
ライティングやスピーキング能力も問われるため、受験前には対策が必要です。
ちなみに、TOEFL-PBTと呼ばれるペーパー型テストの点数は、以下の式で、TOEIC点数に換算できます。
((TOEFL-PBTスコア)-296)÷0.348=TOEICスコア
上記の式に従うと、TOEIC700点に相当するTOEFLスコアは「540点」ということになります。
博士課程における英語勉強法は?
博士課程における英語勉強法は、どのようなものがあるでしょうか。
結論から言うと「英語論文に触れつつ、なるべく英会話の場数を踏むこと」になると思われます。
- 英語論文を日本語に訳す
- 英語論文を書いてみる
- 英語でのプレゼンテーションに慣れる
博士課程で必要な英語力を、シンプルに、そのまま鍛えていくのが近道となります。
近年は翻訳サイトの精度が高まっています。意味が分からない英文に当たったら、翻訳サイトを活用し、その訳を自分なりに考えてみましょう。その繰り返しでも、基礎的な英語力は向上していくでしょう。
また、留学生と交流する機会があれば、積極的に英語でコミュニケーションをとってみるのも良い方法です。
【まとめ】博士には英語力が求められるがネイティブレベルは不要
今回の記事では、博士学生の英語力について解説してきました。
要点をまとめると、以下の通り。
- 博士課程では英語での論文読解/執筆が必須
- 国際学会ではプレゼンテーションや質疑応答もある
- 専門分野に限った英語力があれば大丈夫
- 大学院、博士課程のTOEIC点数は650点程度が平均
ちなみに、就活をする博士学生の場合は、エントリーシートなどでTOEICのスコアを提出するケースもあります。
当然ながら、TOEICが高得点なら良い印象を与えることはできます。ただし、TOEICスコアと同時に、国際学会でのプレゼンや、海外学術誌への掲載など、「実際に英語を使ってきた経験」をアピールするのも重要です。
ネイティブレベルではなくとも、専攻分野に関しては、ある程度英語でコミュニケーションできるようにしておきましょう。
また、進学に際して「英語ができないから不安…」と悩む修士学生もいることでしょう。
ただ、博士号を取得するのに最も大切なのは当然ながら研究成果です。英語力は必要条件ではありますが、周りの協力を得ながら「なんとかする」という学生が多いのも実情です。
以上、参考になれば幸いです。
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