博士号を取得するのってどのくらい難しいのか…その難易度がイメージできない人も多いかもしれません。
- 修士号と博士号の違いとは?
- 博士課程の難易度とすごさとは?
- 博士は日本に何人いる?割合は?
このような内容を、記事にまとめました。
結論から言うと、博士号の取得は修士号とは比較にならないほど難しく、だからこそ希少であり、高度な研究能力の証明と言えるでしょう。
単位を取得して修了できるものではなく、「新規性のあるテーマで論理的な論文を書き、教授陣の審査を通す」ことが必要となり、一般的な難易度は「すごく高い」と言えます。
本記事では、日本における博士号の難易度や希少性、人数割合などを徹底解説していきます。
博士号はどうやって取るの?
そもそも、博士号ってどのように取るのか想像できない人もいるかもしれません。
大学院における博士後期課程を修了するためには、博士論文を提出し、さらに「ディフェンス」と呼ばれる公聴会にて教授陣に対するプレゼンテーションを行い、審査に通過する必要があります。
研究内容は新規性のある(前例のない)テーマを自ら設定し、論理的に成果をまとめることが求められます。
大学院や分野によって違いはあるものの、学術誌への論文掲載が博士論文提出の前提条件になっているケースも多いです。その他、国際学会への参加、研究室全体の運営や雑務などなど、多忙を極める中での研究となります。
その研究時間は一日10時間以上というデータもあり、博士課程の修了が簡単ではないことを物語っています。(参考:博士課程は忙しい…大学院生は時間がない【社会人より大変?】)
一筋縄ではいかなない博士課程だからこそ、そこで得られる能力や精神力には高い価値があると言えるでしょう。当然、社会的評価も得られます。
博士号の難易度とは?なぜ修士より難しい?
博士号取得の難易度を、修士課程と比べてもう少し深掘りしていきます。
文部科学省の「博士,修士,専門職学位課程の目的・役割の焦点化」によると、修士課程の目的は以下の通り。
幅広く深い学識の涵養を図り、研究能力又はこれに加えて高度の専門的な職業を担うための卓越した能力を培う
修士課程においては、研究室には所属するものの、修了するためには「単位の取得」がメイン。教員から研究テーマの枠を与えられた中で、修士論文を書くことが多いです。
一方、博士課程の目的は、以下の通り。
研究者として自立して研究活動を行うに足る、又は高度の専門性が求められる社会の多様な方面で活躍し得る高度の研究能力とその基礎となる豊かな学識を養う
博士課程においては、前述の通り、自ら研究テーマを見出して独自の研究成果をあげていかなければなりません。
つまり、「自立して研究活動を進めていけるかどうか」が、修士と博士の違いだと言えます。
修士課程はストレートで(2年間で)修了するケースが多いものの、博士課程は3年を超えて在籍する人が多いことからも、その難易度の高さがうかがえます。(参考:博士号って何歳で取れる?大学院ストレート修了時の年齢【入学に制限はない】)
博士号のすごさ…最高学歴の証
博士号は、言うまでもなく「最高学歴」です。
博士・修士・学士・高卒・中卒という段階がありますが、博士号の上はありません。
偏差値や大学名とは違う意味で、博士は「学歴が最も高い」のです。専攻分野に関わらず、高度な専門知識を有し、自立して論理的な研究をする能力があることを証明しています。
そんな「知のプロフェッショナル」と言える博士学生を求める声は、近年、日本企業でも増えてきています。また、海外では博士号を持っていることこそが高学歴の証であり、高度な人材として評価されるひとつの指標となっています。
博士は日本に何人いる?人数や割合
ところで、博士号を取得している人は、日本に何人いるのでしょうか?
その人数や割合からも、難易度や凄さを分析してみました。
博士号取得者は日本に51万人いる
文部科学省による「科学技術・学術政策研究所:科学技術指標2021」のデータを基にすると、日本で博士号を取得した人は約51万人います。
統計データには1981年度~2018年度までの博士号取得者数が記載されていました。
1980年代は毎年1万人未満でしたが、90年代の大学院重点化政策によって博士号取得者は増加。2000年代に入ると、年間1.6万~1.7万人になる年も見られるものの、現在は毎年1.5万人強で推移しています。
実際のところ、日本で博士号を取得した人の中には留学生も含まれており、修了後は日本を去っているかもしれません。また、博士号を取得した日本人が海外へ渡ることも考えられます。
そのため、「日本に51万人の博士がいる」というのは正確な表現ではありません。日本の大学院で博士号を取得した人数が、51万人であるということです。
日本の人口割合で0.4%しかいない
上記の通り、日本で博士号を取得した人は約51万人います。単純に、日本総人口の1.2億人で割ると、0.43%。
おおよそ240人に1人くらいの割合しか、博士号取得者はいないことになります。
博士号とは、高度な研究能力を持っていることの証明であり、社会的にも希少な価値があるということが見えてきます。
ちなみに世界に目を向けると、ドイツ・イギリスは毎年2万人以上の博士が生まれています。グローバルな視点で見ても、博士号取得者は外国人から一定の高い評価を得られることでしょう。
【まとめ】博士号は難易度が高く、0.4%の高度な人材!
今回の記事では、博士号の難易度とすごさ、その希少性について解説してきました。
要点をまとめると、以下の通り。
- 博士号とは「自立して研究できる能力」の証明である
- 学士、修士とは比較にならないほど難しいからこそ価値が高い
- 日本で博士号を取得した人は、全人口の約0.4%
博士号を取得することは、一般的には「すごい」と思われることであり、高度な研究スキルを持つことの証明になります。博士号を取得することで自信と誇りを持てるようになった人も少なくありません。
また、近年、博士号取得者を求める声は強まっており、自分の研究能力を活かせる環境が増えてきています。
近年はアカデミアに残ってポスドクとして研究を続けるだけでなく、博士に期待を寄せる企業に就職する人も増加傾向にあります。先行き不安な情勢の日本において、「知のプロフェッショナル」である博士には、大きな期待が向けられています。
「博士情報エンジンwakate」では、博士向けの就活情報を提供しています。セミナーなどに参加し、一緒にキャリアプランを考えてみましょう。
コメント