昨今、「VUCA」という言葉を耳にすることがありますよね。博士とも関係の深い言葉なので、詳しく紹介しましょう。
- VUCA時代とは?
- VUCA(ブーカ)という言葉はいつから使われている?
- 経済産業省/文部科学省もVUCAという単語を使っている?
- VUCA時代に求められる人材として博士教育が注目されている?
以上のような内容をまとめました。
あえて決めつける言い方をするならば、未来予測が難しくなったVUCA時代に求められる人材とは、ズバリ「高度人材としての博士」なのではないでしょうか?
今回の記事では、VUCAとは何か、その意味や概要と、VUCA時代に求められる人材について解説していきます。
VUCA時代とは?
「VUCA時代」とはどんな意味?
VUCA(ブーカ)とは、未来の予測が困難な状況のことを指す造語です。
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
以上、4単語の頭文字を組み合わせた言葉です。
ICT・AIの急速な進化、新型コロナウイルス・地球温暖化も含めた環境問題、不安定な政治・経済状況により、ますます予測困難な時代になっています。
VUCAという言葉はいつから使われてる?起源は軍事用語?
VUCAという言葉は、アメリカ軍が1990年代に冷戦終結後の混沌とした国際情勢を表現するために使用し始めたと言われています。起源は軍事用語だったのです。
2010年代から、ビジネスシーンでも使われるようになり、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)では、「VUCA World」という単語が使われたことにより、ビジネス用語としての認知が高まりました。
さらに、現在は「Super VUCA時代」という言われ方をすることもあります。
VUCAの具体例・象徴的な出来事とは?
VUCAの言葉の意味を理解したうえで、その具体例・象徴的な出来事を見ていきましょう。
Volatility(変動性)
変動性の激しい時代になっているのは日々実感があると思いますが、特に象徴的な出来事としては、2007年頃からのスマートフォンの普及が挙げられます。あっという間に多くの人々の手に渡り、日本における携帯電話保有率は100%に近づいています。
その他、技術革新に伴うSNS・AIツールなどの進化により、人々の行動やニーズ、社会の流れなどがあっという間に変動する時代です。
Uncertainty(不確実性)
近年は特に、予測困難な出来事が数多く起きているといえるのではないでしょうか。
世界で起こるテロや戦争、新型コロナウイルスの世界的な蔓延、気象変動による環境の変化、災害、また、IT技術の発展による仮想空間の登場なども、具体例として挙げられるでしょう。
長期的な未来の見通しが立たず、万全なリスク回避が難しくなっています。
Complexity(複雑性)
グローバル化の影響でビジネスは拡大しましたが、その一方で、多種多様な交流や交換が生まれることで、物理的にも文化的にも社会状況を把握しにくくなっています。
Airbnb・Uberなどのシェアリングサービスや、経済界におけるFintech、NFTなど、既存の慣習や規制のままでは適用できない複雑さがあります。複数の要因が相互に関連しあって、シンプルな方向性が見えにくい時代なのです。
また、日本においては、アメリカとの同盟、ウクライナ問題や中東情勢、中国・韓国との関係など、外交における政治的な問題も複雑を極めています。
Ambiguity(曖昧性)
今の時代、明確な正解がわからない曖昧な事象ばかりです。
SNSなどの登場で情報量が爆発的に増加し、人々の価値観も多様化しています。また、新たなサービスが次々と登場しては消えていき、大衆の反応はあいまいで、予測できません。
直線的な因果関係でシンプルに課題解決することが難しくなっている、と言えるでしょう。
VUCA時代における教育の課題とは?
VUCA時代では、従来の「知識習得型」教育からの脱却が求められています。
暗記による正誤確認だけでは対応できない課題が多くなってきており、意識の転換が必要です。
文部科学省の「2030年に向けた日本の教育政策について」でも、「想定外」や「板挟み」と向き合い、乗り越えられる人材の必要性が示されています。
教育の役割は、単なる情報の伝達ではなく、学習者が主体的に学べるよう、能力開発や自己変革を支援することになってきています。「teach」から「learn」への変化とも言えるでしょう。
VUCA時代に求められる人材像・必要なスキル
VUCA時代では、一つの専門分野に留まるだけではなく、多様な知識やスキルを持つことが求められます。状況に応じて柔軟に対応し、問題解決能力や創造性を発揮できる人材が重要です。
また、リーダーシップやコラボレーション能力など「どんな場面でも通用するスキル」が求められます。
これはまさに、博士人材が習得する「トランスファラブルスキル」ではないでしょうか。
※トランスファラブルスキルについては、「大学院で磨く!トランスファラブルスキルの具体例/一覧【博士向け】」の記事で詳しく解説しています。
経済産業省でも、VUCA時代の企業人材育成として「越境学習」に注目しています。(参考:経産省も注目の越境学習とは?)
越境学習とは、自分の慣れ親しんだ領域を超え、新たな環境で挑戦して学びを深めることを意味しています。
どのような状況においても、自ら課題設定し、解決するためにトライ&エラーを繰り返し、柔軟に粘り強く対応する「自律型人材」が、VUCA時代に求められるというわけです。
繰り返しになりますが、困難なVUCA時代に求められる自律型人材として、トランスファラブルなスキルを身につけた博士への期待は大きくなっているはずです。
【まとめ】VUCA時代には博士人材のトランスファラブルスキルが求められる!
今回のブログ記事では、VUCA時代とは何か、その意味や具体例を解説してきました。
おさらいすると、VUCAとは以下4単語の頭文字を合わせた言葉です。
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
このようなVUCA時代においては「トランスファラブルスキルを身につけた博士人材」に、より大きな期待が寄せられています。
不確実で予測不可能なVUCA時代を引っ張っていく気概を持って、研究活動に打ち込みましょう。
なお、博士人材のキャリア形成については、「博士情報エンジン wakate」にて各種セミナーなどを開催しています。参考にして下さい。
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