【学会ポスター発表】初めてだと人が来ない?当日の流れや作り方のコツを紹介

キャリア

学会でのポスター発表は、自分の研究成果を短時間で効果的に伝え、相互に意見交換する貴重な機会です。

  • 学会のポスター発表の流れは?
  • ポスター発表は初めて…何もしないと人が来ない?
  • ポスター発表の作り方と効果的なデザインとは?

上記のような内容を、記事にまとめました。

主に、初めて学会のポスター発表に挑戦する方に向けて、成功させるためのポイントと注意点を解説します。予備知識をもとに適切な準備を行い、自信を持って発表に臨みましょう!

学会のポスター発表とは

ポスター発表とは、研究内容を大判のポスター(A0程度のサイズ)にまとめ、聴衆の前で簡潔に説明するプレゼン形式の1つです。

予め指定された場所にポスターを掲出し、定められた発表時間に、聴衆が興味のあるポスター発表を聞いて回るシステムです。

学会の開催期間や規模によっても異なりますが、一日ごとにポスターを張り替えるケースや、一日の中で数回ポスターを張り替えて、多くの研究者や学生がポスター発表を行うケースがあります。大規模な学会だと、同時に100名以上の研究者がポスター発表を行うこともあります。

また、ポスターを掲示している間は、学会参加者であれば誰でも自由にポスターを見て回ることができますが、別会場で講演が行われていることが多いです。

聴衆の興味を引く魅力的なポスター作成と、簡潔かつ分かりやすいプレゼンテーションが求められます。

ポスター発表と口頭発表の違いは?

学会におけるプレゼンテーションには、ポスター発表と口頭発表の2種類があります。

両者の違いを、簡単に表にまとめました。

発表形式ポスター発表口頭発表
発表方法ポスターを用いて説明スライドを用いてプレゼン
発表時間短時間(数分程度)長時間(10~30分程度)
聴衆自由に、気軽に立ち寄ることができる事前に聞きたいプレゼンを決めて参加する
発表の進行同時に多数の発表が行われる1人ずつ発表する
質疑応答発表者と参加者が自由に会話質疑応答の時間枠が設けられている
特徴多くの人と直接、意見交換ができる研究内容を深く掘り下げて説明できる

上記はあくまでも一般的な傾向であり、学会や実施方式によって異なる場合があります。

ただ、ポスター発表は聴衆と直接対話する機会が多く、質疑応答やディスカッションを通じて深く情報交換できるのがメリットであることは間違いありません。

ポスター発表をきっかけに研究者同士でネットワークが繋がっていくこともあるでしょう。

学会のポスター発表:当日の流れは?

学会のポスター発表は、実際に参加しないと会場の雰囲気をイメージしにくいため、事前に当日の流れを正しく把握しておくことが大事です。

もちろん、参加する学会ごとに違いはありますが、以下でポスター発表当日の具体的な流れを紹介します。

1. 会場到着と受付

早めに会場に到着し、まずは会場全体の雰囲気を確認しつつ、受付をします。当日のプログラムや、発表者用の名札などを受け取りましょう。

事前に学会運営委員会から、発表のエントリー番号や場所などが知らされていることもあります。

2.ポスターの設置

受付が済んだら、指定された場所(パネル)にポスターを張り出します。ポスター掲出時間が指定されている場合はその指示に従ってください。

ポスターを張ったら、一度離れてポスターが傾いていないかなど全体を確認し、問題がないか必ずチェックしましょう。

3.自由時間は他の発表を聞きに行くチャンス

ポスター設置が完了したら自由時間となることが多いです。自分の発表時間になるまで、興味のあるポスターを見に行くなど、他の研究者の発表方法、ポスターの作り方等を学びましょう。

このタイミングで他の参加者と交流できたら、自分の研究テーマと発表時間を伝え、「もしよかったら聞きに来てください」などと声をかけるのもいいかもしれません。

なお、自分の発表時間の開始5分前には自分のポスターの前に居るようにしましょう。

4.ポスター発表は数分程度に凝縮する

聴衆が自分のポスターに興味を持ったら、自己紹介を簡潔に行い、自分の研究テーマの目的や結論を説明しましょう。最初の1分で興味を引くことが大切です。親しみやすい雰囲気を作りながら、聞き手の反応に合わせて説明をつけ足していきましょう。

学会によって「〇分程度でプレゼン」などと目安が定められていたとしても、まずは短時間で端的に発表の全体を伝えることが望ましいです。最初から時間をかけて細部まで発表しても、相手の興味とずれていたら交流は生まれにくいですし、適切な意見・フィードバックも得にくくなってしまう可能性があります。

5.質疑応答

学会のポスター発表では、質疑応答がメインになることもあります。自分の発表を聞きに来てくれたということは、まず間違いなく発表内容について質問が来るはずです。発表を聞かずに、いきなり質問してくる人もいます。質問に対する心の準備は万端にしておきましょう

また、1対1で深く話し込むような状況もあるかもしれませんが、なるべく周りの人にも視線を向け、議論に加わりやすい雰囲気を作っておくと良いでしょう。

6.ポスターの撤去とアフターフォロー

発表時間が終了したら(あるいは指定された時間になったら)ポスターを撤去します。もらった名刺や連絡先を整理し、感謝のメールを送ると良いでしょう。その場で答えられなかった質問に対する回答や補足情報を送ることで、良好な関係を築くことができます。

また、学会の感想や得られたフィードバックを整理し、次回の発表に向けて改善点を見つけることも大切です。

学会ポスターのデザイン・作り方は?

学会のポスター発表で成功するためには、ポスターだけを見て研究内容がわかるように書き切ることと、プレゼンする際に使いやすいような図表を掲載する「バランス」が大事になってきます。

特に、以下のポイントを意識することが重要です。

  • 研究内容を簡潔に伝える: 必要な要素を簡潔にまとめ、見やすく分かりやすいレイアウトを心がける。文章は最低限にとどめ、1つの図表に1つのメッセージとなるように配置しましょう。
  • 少し離れた場所からでも見やすいように: 大きな文字や色分け、目を引く図表などを活用し、少し距離があっても見やすいデザインにしましょう。(ex.タイトルのフォントサイズは100、見出しは60など、大きめに。)
  • 色や装飾を使いすぎない:ポスターは、研究内容をわかりやすく伝えるのが目的です。過度な装飾や色分けは自己満足になってしまいます。実際に聞き手が見やすく、理解しやすいかどうかが重要です。使用する色は3色までとし、効果的にアクセントをつけましょう。

論文やプレゼンとは違う考え方が必要になるため、指導教員や先輩などに意見を貰いながら制作しましょう。会場で他のポスターを見て、見やすい、理解しやすいと感じたポスターがあったら、それを真似してみることも効果的です。

また、学会によってルールは異なりますが、用紙のサイズはA0判などの大きなものが使われます。個人印刷でA3用紙を繋ぎ合わせている人もいますが、やはり見栄えが悪く、心象もよくありません。

なお、A0判のポスターは一般的なプリンターでは印刷できませんが、大学や研究室の印刷機を利用できる場合があります。そうした環境がない場合は、「学会 ポスター印刷」などで検索し、印刷会社に発注する必要があります。料金はもちろんですが、納期や納品先を十分に確認し、学会当日にポスターが届かない!などというミスのないように気を付けましょう。

まれに、学会で指定の印刷会社が手配されており、印刷・会場への納品を行ってくれるケースもあります。各自、検討してみましょう。

初めての学会ポスター発表…人が来ない理由と対策

初めての学会ポスター発表に向け、しっかりと準備したものの、「当日、思ったよりも人が来ない…」という経験をした学生は少なくありません。

ポスター発表に人が集まらない理由と、その対策を見ていきましょう。

ポスター発表に人が来ない理由

  1. 発表者が消極的である: 実は、最も大事なのは「盛り上がり感」です。発表者がポスターばかりを見ていると、話しかけにくい雰囲気になります。また、同時に多数の発表がされているので、大きめの声で明瞭に発表しないと内容が聞こえません。
  2. ポスターの視覚的魅力が不足している: ポスターが見にくい、情報を詰め込みすぎている、文字ばかり並んでいるなど、見るだけで全体像と結論が分かるようにしておかないと、聴衆は離れて行ってしまいます。
  3. タイトルが魅力的でない: タイトルが長すぎたり、学会のテーマとの関連性がわかりにくかったりすると、興味を引くことができません。

ポスター発表を聞いてもらうための対策

上記の中でも、特に1つ目の「発表の雰囲気」は大事です。議論が盛り上がっていると、通りすがりの人も興味を持ってくれます。

その他には、「事前に宣伝しておく」という方法が有効です。

先ほども少し触れましたが、発表以外の自由時間を使って、学会の参加者に自分のポスター発表に来てもらえるよう声をかけておくのも良いでしょう。

または、SNSや学会の掲示板などで、事前に積極的にPRしておくことで、「せっかく準備万全なのに人が来ない…」という残念な状況を避けられるかもしれません。

【まとめ】学会のポスター発表はトライ&エラーで成長できる場所

今回のブログ記事では、博士学生なら一度は経験することになるであろう「学会におけるポスター発表」について情報をまとめました。

学会のポスター発表は、研究内容を多くの人に伝えるだけでなく、研究者同士で深い意見交換をするチャンスです。

また、発表しながらフィードバックを貰うことができ、それを次の発表ですぐに試すことができます。

自分の研究を他人に伝えるには何が必要で、何が不要なのか…トライ&エラーを高速で繰り返し、経験値が貯まりやすいのが学会ポスター発表のメリットです!

今回の記事を参考にポスター発表を成功させ、今後の研究活動に活かせるようにしましょう。

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