博士論文の完成までに立ちはだかる壁の中で「最も厳しいのではないか…」と言われるのが予備審査です。
- 博士論文の予備審査とは?
- 予備審査はかなり厳しい?
- 不合格/落ちるケースもある?
このような情報を、ブログ記事にまとめました。
結論から言うと、博士論文の予備審査では「かなり厳しい質問や指摘が入り、不合格になるケース」もあります。
しかし、逆に言えば予備審査を通過すれば、本審査通過が見えてくると考えることもできます。
今回の記事を参考に、博士論文の予備審査の傾向と対策を学んでいきましょう。
博士論文の予備審査とは?
博士論文の予備審査は、博士号取得において非常に重要なステップとなります。(省略して予備審とも呼ばれます。)
博士学生は学位取得に向けて、予備審査のための申請手続きを行い、それが受理されると審査委員たちの前でプレゼンテーションを行います。20分~30分程度のプレゼンを行う大学が多く、その後、教授陣から厳しい質疑応答を受けることとなります。
この予備審査に合格すれば、そこで貰った修正点・改善点を精査することで最終的な本審査に進んでいくことができるわけです。
予備審査の目的は?
多くの大学では、博士論文の本審査の前に「予備審査」を行っています。
その目的は、「研究の質の確認」です。 適切な方法・データが使用されているかどうか、論理性やオリジナリティなどが博士論文として認められるクオリティに到達しているかどうかを判断します。
また、 予備審査では多くのフィードバックを受けます。指摘事項を適切に修正することで、本審査までに論文の質を向上させるという目的も含まれています。
ただ、この時点で改善点や指摘事項が多すぎると、本審査までに修正不可能とみなされ、予備審査のやり直しを言い渡されてしまいます。
予備審査に進むためにも条件がある
ちなみに、この予備審査を受けるためにも、条件があります。
各大学によって基準は大きく異なりますが、例えば、以下のような条件が必要になることもあります。
- 博士論文の草稿が出来上がっていること
- 外部ジャーナルに投稿論文が掲載されていること
明文化こそされていないものの、「本審査通過に必要な条件を満たしている論文(もしくは満たす可能性が高い論文)でないと、予備審査を受けられないこともある」でしょう。
予備審査にスムーズに進むためにも、日頃から指導教員とコミュニケーションを取り、審査スケジュールに合わせて博士論文を仕上げておく必要があります。
※さらに言及すると、「本審査に必要な条件」というのも明文化されていないことがあります。
例えば、室蘭工業大学においては『学会等の審査付きの論文集に、課程博士にあっては1編以上、論文博士にあっては3編以上掲載されていること』が、本審査の必要条件として記載されていますが、公開していない大学も多いです。
予備審査のスケジュールは?
博士論文の予備審査のスケジュールは大学によって異なります。
一般的には、指導教員と相談をしながら、博士課程3年次の前期には予備審査の申請を行うことが多いです。(※例えば、広島大学のスケジュールはこちら)
申請が受理されると、D3の中ごろ~後期に予備審査が行われ、その後、本審査や公聴会へと進んでいく流れが多いです。
予備審査では不合格/落ちることもある…再挑戦は半年後?
博士論文の予備審査では、不合格になるケースがあります。
公聴会(本審査)で落ちることは非常に稀なのですが、予備審査の段階で落ちることは、実はそれほどレアなケースではありません。(※参考:博士の公聴会とは?質問例と対策!不合格/失敗/落ちることが心配な人へ)
指摘事項が多すぎて数か月間では修正ができないようなケースや、プレゼンテーションにおいて論理性が欠けていた場合などは、審査委員から「不合格」の判断が出てしまいます。
その場合は、博士課程を半年間延長して、再度、予備審査に挑戦することになるケースが多いです。(※詳しい手続き上のルールは、各大学によって異なります。)
博士論文の予備審査は厳しい!事前に覚悟が必要?
博士論文の予備審査は、論文受理までの「最初にして最大の難関」と言われるほど、厳しいです。
- プレゼンの段階で指摘が入りすぎて論文内容に入れなかった…
- 博士論文としてのクオリティには程遠いと指摘された…
- これではとても学位を与えることはできないと言われた…
など、非常に厳しい指摘や意見が飛んでくることもあります…。
審査委員としては、一定レベル以上の論文(プレゼン)かどうかを正当に判断する義務がありますし、博士学生への期待もあります。また、「あえて厳しい指摘を入れて、研究者としてのマインドを判断する」という考えもあるようです。
つまり、研究者とは、うまくいかないことに粘り強く、前向きに取り組むことができる人材であるべき、という考え方です。
論文内容だけでなく、研究者としての資質も判断されていると考え、心の準備をしておきましょう。
博士論文の予備審査で通過するためのポイント
予備審査の段階では、論文として完璧である必要はありません。審査を通過するためのポイントを紹介します。
- 自分の研究成果のアピール: 研究テーマに関連する文献への理解を示しつつ、自身の研究が学術的にどのような文脈に位置づけられ、価値を持っているのかをアピールしましょう。
- 質の高いプレゼンテーション: 予備審査は比較的短い制限時間でプレゼンを行います。ここで論理の飛躍があると、論文の細かな内容に入る前に、厳しい指摘が入ってしまいます。スライドは後戻りができないので、要点を絞って作り込みましょう。
- 質疑応答への対応: 前述の通り、予備審査の質疑応答では厳しい指摘や予期せぬ質問が飛んできます。パニックにならないよう、事前に質疑応答の練習をしておくといいでしょう。
- 自信を持つ: 最も重要なことは、自分の研究と準備に自信を持つことです。プレゼンや質疑応答の中で審査委員にも伝わり、好印象を与えることができます。
最後に、当然のことではありますが、指導教員とのコミュニケーションは密に行っておきましょう。
予備審査当日までに、論文やプレゼンの細かな部分まで見てもらい、修正を重ねておくと安心ですね。
まとめ
今回のブログ記事では、博士論文の予備審査について解説してきました。
博士課程全体を通して、「予備審査が最も厳しかった」という声もあります。
事前に論文やプレゼンの準備を「できる限り最高の状態」に準備しておくことはもちろん大事ですが、「どんなに仕上げていても厳しい指摘は入るものだ」という心の準備も大事です。
予備審査に合格すれば、残すは本審査と公聴会だけです!
学位取得が大きく近づきますので、予備審は「厳しい試練」なのだと覚悟を持ち、自信を持ってプレゼンしましょう。
この記事が参考になっていれば幸いです。
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