博士課程に向いている人/向いてない人とは?性格や能力の特徴5つ

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博士課程に進学するかどうか、悩む人は多いです。

「修士と博士では何が違うのだろうか…」「自分は博士課程でやっていけるだろうか…」そんな悩みを抱えてる人に向けて、博士課程に向いている人の特徴5つを紹介していきます。

  • 修士と博士の、根本的な違いとは?
  • 博士課程に向いている人の特徴とは?
  • どんな能力、どんな性格が適性を持つのか?

本格的な研究活動をしていくにあたって、当然ながら向き不向きはあるかもしれません。しかし、最も大切なのは「知的好奇心の有無」と言えるでしょう。

博士課程ではどんな人が向いているのか…本記事で一緒に考えていきましょう!

修士課程と博士課程の大きな違い

先輩博士学生の姿を見ている人は想像がつくと思いますが、そもそも、修士と博士には根本的な違いがあります。

まずは、文部科学省が修士・博士の目的をどのように定義しているか、見てみましょう。

修士課程は,幅広く深い学識の涵養を図り,研究能力又はこれに加えて高度の専門的な職業を担うための卓越した能力を培う課程である。具体的には,1.高度専門職業人の養成,2.知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養のある人材の養成を行う課程,あるいは,3.研究者等の養成の一段階として,高度な学習需要への対応等社会のニーズに的確に対応することが求められる。

博士課程は,研究者として自立して研究活動を行うに足る,又は高度の専門性が求められる社会の多様な方面で活躍し得る高度の研究能力とその基礎となる豊かな学識を養う課程である。具体的には,創造性豊かな優れた研究・開発能力を持ち,産業界や行政など多様な研究・教育機関の中核を担う研究者や,確かな教育能力と研究能力を兼ね備えた大学教員の養成を行う課程として明確な役割を担うことが求められる。

(文部科学省:博士,修士,専門職学位課程の目的・役割の焦点化より)

上記の説明では、根本的な違いは分かりにくいかもしれません。あえて一言で表現するなら、「勉強か、研究か」ということになるでしょうか。

修士課程では、講義を受けて単位を取る「受動的な勉強」も大きなウエイトを占めます。修士論文でも一定のクオリティを求められるものの、あくまでもチームの一員としての研究であることが多く、研究の基礎を「勉強」している段階であると言えそうです。

一方、博士課程では「受動的な勉強」よりも、「能動的な研究」を進めていくことになります。一人前の研究者として扱われるため、自分自身で研究プロジェクトを立ち上げ、質の高い博士論文を作り上げることが求められます。

また、先ほどの文科省の定義によると、将来的には「中核的な研究者や大学教員」など、社会の中で明確な役割を担うことが求められています。

博士課程で最も重要なのは「知的好奇心」

博士に「向いてる・向いてない」を考える際に、最も重要なポイントは「知的好奇心」です。

博士課程では、自ら疑問を持ち、仮説を立て、実験・情報収集をして、分析、検証を繰り返すことになります。このような研究活動のすべての過程において、知的好奇心はマストになるでしょう。

さらに、近年ではひとつの専門領域を深掘りするだけではなく、近接する領域やトランスファラブルスキル等、専門力以外の知識・能力も重視されています。この観点においても、強い「知的好奇心」が重要となります。

逆に言うと、知的好奇心がない人は、博士課程には向いていないのかもしれません。

※トランスファラブルスキルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

大学院で磨く!トランスファラブルスキルの具体例/一覧【博士向け】

博士課程に向いている人の特徴5つ(性格/能力)

知的好奇心をベースとしながらも、博士課程に向いている人の特徴をあえて挙げるならば、以下5つがあるかもしれません。

  1. 主体性がある
  2. 前向きさ、粘り強さがある
  3. 論理的思考力がある
  4. 時間管理能力がある
  5. 基礎体力がある

5つの点について解説していきますが、実は、修士学生ならだれでもある程度、これらの素養は持っているのではないでしょうか?

博士課程は、「これら5つの素養(スキル)を伸ばしていく場である」とも言えます

①主体性がある

修士と博士の違いでも触れた通り、博士課程では「一人前の研究者」として扱われます。一応学生の身分ではあるものの、研究の目的・ゴールを自分で決め、新規性のある研究成果をあげることが求められるため、主体的に動けるかどうかが重要です。

指導教員の指示の範囲内で受動的に取り組むのは修士学生までです。博士は研究のスタートからゴールまで、自ら能動的に研究計画をデザインしなければなりません

博士課程での「研究」は、他人が用意した問題に対して正しく回答するのではなく、自分が用意した課題に対して自分なりの回答を見つけ出す作業となります。これが難しくもあり、楽しい部分かもしれませんね。

博士にとって、主体性は必須の資質と言えるでしょう。

②前向きさ、タフさ、粘り強さがある

研究においては、うまくいくことばかりではありません。むしろ、うまく研究が進まずに悩む人が多いのが実情。よい実験結果が出なかったり、プレゼンで失敗をしたり、論文がリジェクトされたり…。

うまくいかないことに対して、落ち込んでくじけてしまうのか、次のアイデアを試そうと前を向くことができるか…博士には精神的なタフさが求められます

タフさとは、ただ単に我慢強いとか諦めないという根性論ではありません。先行き不透明な研究遂行に対して「粘り強い向き合い方」をして、解決法を試行錯誤できる人が、博士課程に向いてると言えるでしょう。

③論理的思考力がある

論文作成やプレゼンテーションにおいては、論理的な飛躍や矛盾のない組み立てが重要です。興味深い実験データが出たとしても、それを客観的に、科学的に扱わなければ質の高い研究と認められません。

もちろん、博士課程で試行錯誤するうちに論理的思考力は自然に鍛えられますが、もともと緻密で論理的な考え方が得意な人は、博士進学に向いていると言えそうです。

④時間管理能力がある

博士学生は多くのタスクを同時に抱えており、時間管理能力も重要です。

博士課程は忙しい…大学院生は時間がない【社会人より大変?】」という記事に書いていますが、平均で「一日10時間以上研究している」というデータもあります。

時間をなるべく有効活用することで、締め切りに追われることなく、充実した研究生活を送ることができます。

⑤基礎体力がある

最後に、博士課程においては基礎体力も必要です。地味な資質に思われますが、実際のところ、非常に重要な要素となるでしょう。

博士課程では自分の研究活動以外にも、あらゆる仕事を任されるようになります。

忙しくて困難も多い博士課程を修了するためには、精神的にも肉体的にも健康で、ストレスや疲れを乗り越えられる基礎体力が求められます。「身体は資本」というわけですね!

自分はもしかして博士に向いてない…?と感じる人へ

博士課程においてマストなのは「知的好奇心」だと述べました。

また、向いている人の特徴を5つ挙げました。これらの特徴を見て「自分は博士課程に向いてないかも…?」と思った人がいるかもしれません。

しかし、ここまでの記事内容をひっくり返すようですが、実際のところ、博士に「向いてる・向いてない」という議論は、あまり意味を持ちません!

博士課程といえど、あくまでも「教育課程」です。主体性が重要とはいえ、やはり指導者に様々な点で教えられ、自分が成長していく環境であることには違いありません。

先ほどの5つの資質は、博士課程でもまれる中で身につけていくことができます。研究に真摯に取り組んでいるうちに、あらゆる面で経験値が高まり、自分が強く成長していくのを感じるはずです。

ベースとなる知的好奇心がある人や、博士になってみたいという志がある人は、博士課程を経験することで、研究者としても人間としても、大きく成長できることでしょう。

【まとめ】博士課程では知的好奇心があれば大きく成長できる!

今回の記事では、修士と博士の違いと、博士課程に向いている人の特徴について解説してきました。

要点をまとめると、以下の通りです。

  • 修士課程は受動的な勉強+研究の基礎
  • 博士課程では一人前の研究者として扱われる
  • 知的好奇心が研究活動のベースになる
  • 博士課程では人間的にもスキル的にも、大きく成長できる

学部・修士では勉強することがメインでしたが、博士課程では研究中心の生活となります。

うまくいかないことも多い研究活動ですが、知的好奇心を持って、前向きに試行錯誤していけると強いです。逆に、博士課程で研究を続けることで、今回ピックアップした5つの要素が「飛躍的に成長する」と言うこともできます!

博士課程に対して不安を持っている人にとって、わずかでも参考になっていれば幸いです。

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