【独自アンケート】D3の進路は10月時点でどのくらい決まっている?

キャリア

大学生(学部生)の就職活動も大詰めを迎え、10月1日からは正式な内定が出ていますね。

そんな中、一部で「就職率に課題がある」と言われる博士学生の就職活動の状況はどうなっているでしょうか?

博士情報エンジンwakate」では、博士課程3年目(D3)相当の学生および、博士課程2年目(D2)相当の学生に対して、就活状況について独自アンケートを取りました。

諸先輩方がどのように進路を決めていったのかを参考に、自身の就職活動についてイメージを膨らませておきましょう。

【D3】4月以降のポジションについて教えてください

2024年10月3日から10月9日まで、D3学生に対して、進路調査アンケートを行いました。

結果は以下の通りです。

  • アカデミアに内定している:16.16%
  • 企業に内定している:53.54%
  • 博士課程を継続している:8.08%
  • 決まっていない:19.19%
  • 該当なし:3.03%

博士課程修了後の就職先が10月時点で決まっているのは、「69.7%」で、7割の博士は就活を終えているという結果でした。(有効回答数99件)

※就職率を学部生と比較すると…?

ちなみに、上記データの中で「博士課程を継続している」学生8名は、2025年4月時点での就職を希望していないとみなすことができます。

就職を希望している博士学生だけで見ると、就職率は「75.8%」となります。

これは文部科学省と厚生労働省が昨年公表した学部生の内定率「74.8%」*と比較して、遜色ない数字となっています!(※就職希望している人の中で、内定が決まった学生の割合)

※wakate登録者は企業内定率が高い…?

先ほどのD3進路状況の中で、「企業に内定している人」の割合が53.54%でした。

文部科学省が公開した「博士後期課程修了者の進路について」を見ると、博士課程修了後に民間企業および公的機関に就職する割合は「33.9%」でした。

博士情報エンジンwakate」に登録している博士学生は、キャリアへの意識・就活情報へのアンテナが高く、企業への就職活動を優位に進められているのかもしれません。

今後も、博士の就活に役立つ様々なイベント・セミナーを開催していくので、ぜひチェックしてみてください。

【D2】博士学生の就職活動状況調査

続きまして、D2相当(2025年4月~2026年3月修了予定)の学生に対しても、就職活動アンケートを実施しました。

D3と同じく、実施時期は2024年10月です。回答数は66件でした。

①就職活動の状況は?

  • まだ就職活動を始めていない:4.55%
  • 就職活動中:83.33%
  • 就職活動を終了した(進路決定済み):12.12%

D2の10月の段階で、進路が決定してる人が12%もいます。

【早期選考アリ】博士学生の就活はいつから?スケジュールと事前準備」という記事でも解説している通り、博士学生には早期選考があり、企業によってはD2の6月頃からエントリーを開始しています。

また、95%近い人が、10月までには就活を始めていることも分かります。

※内定をもらった職種は?

  • 研究職:87.50%
  • 研究職以外の技術職:12.50%

内定が決まった8人の職種は上記の通りです。

D2の10月に内定をもらってる人のほとんどが研究職で、技術職の人が1名いました。

※内定をもらった組織の種別は?

  • 公的研究機関:12.50%
  • 企業(大企業・中小企業):87.50%

公的研究機関が1人、その他は企業の研究職でした。

②入社時期(入社希望時期)は?

  • 2025年10月まで:3.03%
  • 2026年4月:93.94%
  • 2026年10月:0.00%
  • 2027年4月:0.00%
  • 未定:1.52%
  • その他 :1.52%(2025年4月)

当然ながら、ほとんどのD2学生は2026年4月入社を希望しています。

③学位取得見込み時期は?

  • 2025年9月まで:6.06%
  • 2025年10月~2026年3月:87.88%
  • 2026年4月以降:6.06%

先ほどのQ2で早期に就職希望を出していた人は、9月修了の人か、もしくは学位取得が前倒しになる予定なのかもしれません。

④学位取得の確度は?

  • 学位取得要件を満たし、博士論文・学位審査を残すのみ:22.73%
  • 学位取得要件を満たす見通しが立っている:50%
  • 学位取得の見通しが立っていない:27.27%

D2の10月の時点で、おおよそ学位取得の見通しが立っている人が73%います。

Q3の回答と合わせると、博士号取得の見通しが立ってはいないけれど、2026年3月までに学位取得できるだろうと考えてる人も多いことが分かります。

⑤今回の就職活動で実施・経験したものは?

  • プレエントリー(マイページ登録など)した:86.79%
  • エントリーシートを提出した:60.38%
  • 面接に参加した(現在日程調整中のものを含む):49.06%
  • 内定を獲得した:5.66%
  • その他 :3.77%(就活イベント、インターン)

就職活動を終えた人は、この設問はスキップされているため、回答数は53人です。複数回答が可能になっています。

プレエントリーは87%の人が済ませているものの、D2の10月の時点で就活イベントやインターンに参加している人はほとんどいないようです。

⑥希望する職種は?

  • 研究職:100.00%:53人
  • 研究職以外の技術職:39.62%:21人
  • 上記以外:7.55%:4人

回答数53人で、複数回答が可能になっています。

全ての博士学生が「研究職に就けたら良い」と考えていることがうかがえます。

なお、「上記以外」の自由記述にて、1人目は「シンクタンクの研究員、クオンツ」、2人目は「URA・広報・メディア業界・コンサル業界など」、3人目は「コンサルタント」、4人目は「総合職」という希望が書かれていました。

⑦希望する組織は?

  • 大学:26.42%
  • 公的研究機関:60.38%
  • 企業(大企業・中小企業):94.34%
  • スタートアップ:18.87%
  • 行政府:3.77%

こちらも回答数53人で、複数回答が可能になっています。

圧倒的に企業への就職希望が多く、また、大学よりも公的研究機関の方が2倍以上希望者が多い、という結果でした。スタートアップも企業のうちと考えると、ほぼすべての博士学生が企業就職を視野に入れていると考えられます。

【まとめ】10月時点でD2の12%が内定済み、D3だと76%に!

今回の記事では、「博士情報エンジンwakate」でD2とD3を対象に行った就活アンケートについて、結果をまとめました。

博士学生の就職は厳しいと言われることもありますが、D2の10月の時点で内定をもらっている人が12%おり、彼ら・彼女らは精神的にもスケジュール的にも、余裕をもって研究活動に専念することができそうです。

また、D3になると就職率は約76%になります。これは学部生の内定率と比べてわずかに高い数値で、「博士は就職難」という厳しい現実はそれほど見受けられません。

特に「博士情報エンジンwakate」に登録し、活用している博士は、企業就職への志向性が高く、また結果的に企業からの内定も多いという実情があります。

博士学生には早期選考という独自の採用スケジュールを用意している企業が多いです。研究活動に集中していると、いつの間にかエントリー時期を逃してしまうこともあるため、最新状況については自ら積極的に獲得していきましょう。

※なお、昨年も同様のアンケートを実施しています。「【速報】学部生より博士学生の方が内定率が高い!?」の記事も合わせて参考にしてみてください。

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