博士学生は就職活動において、自分の研究成果や実績、スキル等をポスターやスライド1枚にまとめて自己PRする機会があります。
自己PRポスターは、博士と企業の交流会や、大学内外でのキャリアフェアにて、自分の価値を端的に表現する強力なツールとなります。しかし、研究内容のプレゼンとは異なり、限られたスペースで、どのように”自分自身”を印象付けるかという点で難しく感じる人も多いです。
今回の記事では、自己PRポスターで伝えるべきポイントや、効果的な構成・デザインのコツについて解説します!なお、記事内ではポスターについて中心的に解説しますが、スライド(パワポ)1枚での自己PR資料にも活用できる内容です。
自己PRポスター(スライド)が必要になる場面は?
就職活動において、自己PRポスターが必要になる場面はそれほど多くありません。
通常は、エントリーシートに経歴や実績、自己アピール等を書き、別紙に研究概要を記載することで書類審査となります。
そんな中、特に博士学生の就活では、企業や研究機関とダイレクトに交流するキャリアフェアの開催が増えています。
大学が開催しているものや、学会や同窓会組織等が独自に開催することがあり、通常の就活エントリーとは違うルートで採用担当とコンタクトを取ることができます。そのイベント中、博士はポスターによる自己アピールを行えるケースがあるのです。
例えば、横浜国立大学で毎年開催している、博士と企業・研究機関の交流会「キャリアパスフォーラム」では、博士学生によるポスターセッションの機会が用意されており、さらに、企業のブースでは博士学生と企業の採用担当者がマッチングを図っています。
なお、近年はオンラインでのマッチング会も数多く行われています。
自己PR資料をSNSやポートフォリオに掲載しても良い
魅力的な自己PRポスターが完成したら、それをLinkedInに投稿したり、自身のポートフォリオページに掲載したり…と、様々な機会で活用できます。
博士学生の名刺代わりのような存在にもなってくれるため、自己PRポスターの作成に力を入れて、損をすることはありません!
自己PRポスターに記載する3つの必須項目
博士学生が自己PRポスターを作るにあたり、以下3点は必須の内容です。
①氏名・所属・受賞歴などの自己紹介
ポスターの冒頭部分には、氏名・所属・受賞歴など、基本的な自己紹介を記載するのが最も分かりやすいです。具体的には、「○○大学〇〇研究科〇〇専攻 博士後期課程2年」などの所属情報と、学振・フェローシップ・学会での受賞歴・コンペ受賞歴など、主に研究に関する実績を記載します。
②研究内容
博士学生の自己PRにおいて、研究内容・研究成果および、研究に対する姿勢やスキルが最重要であることは間違いありません。研究の目的と意義を1~2文で簡潔に提示し、主要な成果や発見をアピールします。なお、採用担当者は必ずしも自分の研究分野に詳しいとは限らないため、専門外の人でも理解できるよう簡潔に表現します。また、グラフや図表を活用することで、視覚的にもアピールできるでしょう。繰り返しになりますが、学会の発表用ポスターとは記載すべき内容が大きく異なることに注意しましょう。研究の具体的な内容よりも、目的や背景を明確にした方が良いでしょう。
③ビジョンや価値観
ポスターの最後に、自分の研究のインパクトや意義、今後の展望を示しましょう。自分の研究が社会にどのように貢献するか(させたいか)、その意欲や目的意識を記載することで、前向きな姿勢が伝わります。企業としても、就職後にどのような姿勢や想いで働いてくれるのかを見極めたいため、自己PR資料の中で、ビジョンや価値観を伝えるのは重要です。
自己PRを1枚の用紙にまとめるには深い自己分析が不可欠
自己PRを1枚にまとめるためには、深い自己分析を済ませていることが大前提です。
自分の経験を振り返り、強みや特徴を明確にすることが重要です。博士課程でのすべての経験において、自分が最もアピールしたい体験・スキル・研究成果等をピックアップし、それがどのように相手に価値をもたらすかを表現します。ここでは、自己表現と相手目線のバランスが重要です。
場合によっては、参加企業や研究機関に応じてアピール内容を調整するのも効果的でしょう。
自己PRポスターをデザインするコツとは?
自己PRポスターのデザインには、情報を見やすく整理するだけでなく、採用担当者の目を引くことも求められます。
特に博士学生の場合、ポスターでのアピール内容(およびデザイン)に一貫性があるかどうかで、論理的思考力やプレゼン能力等の判断材料にもなるでしょう。
インパクトを狙うよりも読みやすさをベースにする
自己PRポスターは、デザインにおいてもレイアウトにおいても「一目で要点を伝えられるかどうか」が重要です。以下のような基本的なポイントを押さえて作りましょう。
- 情報のまとまりを作る:情報を大きく3つに分けたり、目立つ見出しを置くなど、情報の配置に明確な流れを作ることで、視線が自然に移動しやすくなります。
- 重要な情報は目立たせる:自己PRで最も伝えたい内容や成果を中心に配置し、目立たせるようにします。
- 余白を適切に使う:ポスターの周囲、また要素と要素の間に適度な余白を作ると、内容がすっきりし、見やすくなります。詰め込みすぎず、重要な部分に目が行くように調整しましょう。
- アクセントカラーを上手に使う:3色以内に抑え、視覚的にバランスの取れた統一感を目指します見出しや結論部分に濃い色を使うことで、目立たせることができます。
なお、自己PRにおいて個性を表現することは、悪いことではありません。ただし、デザイン的な奇抜さや過激さを狙う必要はないでしょう。
熱心に研究活動に取り組んで入れば、奇抜な資料を作らなくても、自然と個性は現れてくるものです。
図表やグラフを用いる
自己PR資料全体が文字だけで埋め尽くされていると、視覚的なインパクトを残しにくくなります。
例えば、研究プロセスを図式化したフローチャートで示したり、研究成果をグラフや図表で示したり、自分の研究に関連する写真やイラストを配置したりすることで、印象を強めることができるでしょう。
自己PR資料は何度もブラッシュアップするのがおすすめ
ここまで、自己PR資料のポイントや作り方を紹介してきましたが、一度で完璧なものを作り上げる必要はありません。
実際に使い、相手の反応をフィードバックとして受け取ることで、具体的な改善点が見つかってきます。
自分が目標としている企業との「大本命のイベント」で最高の自己PRポスターを作れるよう、早いうちから積極的に参加していきましょう。
「博士情報エンジンwakate」でも、博士と企業の交流会を実施しているので、確認してみてください!
【まとめ】魅力的な自己PRポスターで就活を優位に進めよう!
今回の記事では、博士学生の就職活動における「自己PR資料」について、その用途や作り方のコツなどを解説してきました。
博士学生にとっては、研究成果だけでなく、強みや個性やビジョンをアピールすることで、キャリアの可能性を広げる手段としたいところです。深い自己分析と企業分析を前提に、掲載内容の取捨選択や、視覚的デザインの洗練を心がけましょう。
なお、自己PR資料の作成には時間と労力がかかりますが、一度完成させれば、就職活動だけでなく、学会やカンファレンス、SNSやポートフォリオなど、さまざまな場面に展開して活用することが可能です。また、自分を客観的に見つめ直す機会にもなり、自信を持って就職活動に臨めるようになります。
今回の記事を参考に、魅力的な自己PR資料を作ってみましょう!
ちなみに、「博士情報エンジンwakate」では、博士のポスターセッションを含む、様々な就活イベントを開催しています。ぜひ最新情報をチェックしてみてください。
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