大学院生にとって、研究助成金は研究の幅を広げ、経済的な負担を軽減するための貴重な財源です。また、助成金への応募は研究者としての地力を高め、採択されれば実績や人脈に繋がる点も見逃せません。
しかし、研究助成金の種類は政府系・民間財団・起業・地域団体・大学などなど多岐にわたり、研究に集中しているだけだと、なかなか自分に合った情報は入ってきません。
本記事では、大学院生が研究助成金を探す2つの方法「公募一覧から探す」と「検索する」について解説し、その中でも特に使いやすいサイトを紹介します。博士課程は多忙です。効率的に助成金探しをしましょう!
大学院生における研究助成金の重要性
大学院(特に博士課程)の研究では、当然のことながら、資金があればあるほど研究活動がしやすくなります。
例えば、以下のようなメリットが考えられます。
- 研究の質の向上:必要な設備や材料を十分に確保できる
- 研究範囲の拡大:より広範囲や長期的な研究が可能になる
- 研究実績になる:助成金獲得は研究者としてのキャリアのひとつ
- ネットワーク構築:助成団体とのつながりが生まれる
また、助成金の申請書作成等を通じて、論文執筆や研究計画立案のトレーニングにもなります。積極的にチャレンジしたいところです!
大学院生の研究助成金すべてが一覧になっているサイトはないが…
大学院生が応募できる研究助成金の「すべて」を、一覧で管理されていれば分かりやすいのですが、そのようなサイトはありません。
各団体ごとに独自で掲載している助成金もあり、基本的には募集要項や申請時期をすべて自分で調べないといけません。しかし、「助成・奨学金情報navi」というサイトを利用すると、なんと3000件を超える情報が掲載されています!!(※2024年12月時点で、博士向け助成金の情報が150件以上掲載中。)
「助成・奨学金情報navi」は、公益財団法人助成財団センターが運営する情報提供サイトです。このサイトは、日本全国から収集された約2,100以上の助成団体の情報を掲載し、分かりやすい検索機能があるのが特徴です。専攻・分野ごとに絞り込みができるほか、フリーワード検索もできるため、自分と関連性の高い公募を見つけやすいです!
このサイトを知らなかった人はブックマークなどしておき、ぜひ活用してみましょう!
※助成金情報を網羅的に一覧にできない理由は?
ちなみに、すべての助成金を網羅できないのは、研究費が多様な主催者によって提供されているからです。それぞれが独自の要件や目的に基づいて公募を行っており、情報の一元化は不可能なのです。
また、一部の研究助成金は、特定の大学や研究機関に所属している研究者のみを対象とすることがあり、公募情報が広く共有されないこともあります。
助成金提供側の事情として、応募数が増えると採択率が低下するため、自ら本気で情報を獲得しに来ている学生だけを対象としたいという心理的な要因もあるかもしれません。
これらの理由で、研究助成金の公募情報が一覧にならないのです。
助成・奨学情報navi以外に研究助成金を探す方法3つ
「助成・奨学金情報navi」を使う以外では、大きく分けて、以下3つの方法で助成金情報を探すと良いでしょう。
①大学の研究助成金公募一覧ページ
各大学ごとに、申請可能な研究助成金の一覧がまとめられたページがあるはずです。助成団体の応募締め切りとは別に、学内締切があるケースもあるので確認しましょう。
なお、岡山大学においては『女性研究者が応募可能な外部研究費』、北海道大学では『女性を対象にした研究助成金一覧』という女性研究者に向けた一覧ページも見られました。
②専攻分野や学会ごとの公募一覧ページ
専攻分野ごとに、研究助成金の種類は大きく異なります。自分と関連のある公的機関や学会のホームページから、公募一覧を確認するのも一つの方法です。
例えば、自然科学研究機構(NINS)の『外部研究資金情報』というページには、主に宇宙・エネルギー・物質・生命などの分野の公募情報が掲載されています。若手研究科支援で長い実績がある『笹川科学研究助成』に挑戦する人も多いです。
また、医学系であれば圧倒的に大学病院医療情報ネットワークセンター(UMIN)の情報量が多く、『FIND – 各種助成(研究助成、海外留学助成、留学生受入助成等)公募情報』を確認すべきでしょう。
産学協働イノベーション人材育成協議会の『修士・博士学生対象の給付型奨学金・研究助成』には、人文系・美術系の情報も掲載されています。
また、検索機能はないものの、『奨学金.net』では分野横断的に多くの公募情報を一覧掲載しています。
③検索して探す
最後に、Googleなどの検索エンジンで調べる方法も有効です。検索窓に「大学院生/研究助成金/(分野名)」などと入力すると、各団体の公募情報がヒットするケースがあります。自ら検索しないと見つからないような情報もあるため、色々なキーワードで検索してみましょう。
以上、3つの方法を紹介しました。
1つのデータベースに頼るのではなく、複数の公募情報源を組み合わせて探すことで、より多くの可能性を検討できます。
大学院生が研究助成金探しを成功させるためのポイント
大学院生が研究助成金を探す際には、いくつかの基本的なポイントを押さえることが大切です。
まずは、スケジュール管理を徹底しましょう。研究助成金は応募締切が厳しく設定されており、1分でも過ぎれば受け付けてもらえません。応募締切日、必要書類の提出期限、必要書類作成の所要時間を逆算し、余裕をもって申請しましょう。なお、助成金の獲得に忙殺され、研究が疎かになるのは本末転倒なので、合間合間でのスケジューリングを意識しましょう。
また、指導教員や先輩、同僚などから貴重な情報を得られることもあります。研究費獲得に対して積極的な姿勢を見せておくと良いかもしれません。
ひとつの助成金獲得に失敗しても、別のものに挑戦することはできます!研究活動に影響しない範囲で、色々な助成金にチャレンジしてみましょう。
まとめ
今回の記事では、大学院生が研究助成金を探す際のポイントについて解説しました。
競争的資金の獲得は、研究の質を向上させるだけでなく、研究者としてのスキル向上にもつながります。特に博士学生の場合、助成金に採択されること自体が研究者としての実績となり、人脈が生まれることも多いです。
あなたが知らないだけで、獲得できそうな助成金はたくさんあるかもしれません。「助成・奨学金情報navi」などの便利なサイトを活用し、無理のない範囲で積極的にチャレンジしてみましょう!
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