博士論文は、最高学位取得のために提出する「研究の集大成」ですが、文章量はどのくらいが目安なのでしょうか?
- 博士論文の文字数/ページ数には基準がある?
- 英語で書く場合のワード数の目安は?
- 文字数は理系よりも文系の方が長くなる傾向がある?
- 修士論文との明確な違いとは?
このような情報を、ブログ記事にまとめました。
結論から言うと、実際に博士論文に取り組んでいると「文字数」は気にしていない人がほとんどです。審査に耐えうる「質」を目指していれば、自然と「量」は長くなります。
「博士号取得に値する内容であれば、文字数は関係ない」というのが本質なのですが、実は、文系分野だと各大学ごとに「文字数の下限や上限」を定めていることもあるようです。
今回の記事を読むことで、博士論文の文字数やページ数の目安を掴むとともに、文系・理系における違いや、修士論文との違いなどについて、解説していきます。
博士論文とは?どんな構成?
博士論文とは、博士課程で研究してきた成果を一つの論文としてまとめたものです。
事前に、外部ジャーナルへ投稿をしていることが多いですが、それらを集めて切り貼りしただけではなく、一つの研究課題について論理的に解説していくことが求められます。
一般的には、「研究の背景や目的・先行研究・検証方法・検証結果・結果の考察と意義・結論」という流れの「IMRAD形式」で論文を書くことが多いです。このような形式を満たさないと、論文として受理されないケースもあります。
そんな博士論文ですが「適切な文字数はどのくらいなのか?」という点が気になる人もいるかもしれません。研究内容や学問分野によって異なるため一概には言えませんが、その目安や、考慮すべきポイントについて説明します。
博士論文の文字数/ページ数はどのくらい?
大前提として、博士論文の文字数に関しては、所属する大学や指導教員による指針に従うことが重要です。
まず、「理系」の博士論文については、文字数についてのルールは明示されていないことがほとんどです。
その一方、研究の中心部分にも言語的な解説が必要となる「文系」の博士論文では、文字数に下限や上限が設定されていることがあります。
ネット上で公開されている具体例を、いくつか紹介します。
上記の通り、日本語では10万字~20万字程度が博士論文の文字数の目安となりそうです。(英語論文の場合は、50,000words~100,000words程度になるでしょう。)
文系と理系:文字数の違いについて
文系の論文は、文献レビューや複雑な理論の説明も言語で行う必要があり、文字数・ページ数が比較的長くなる傾向があります。
その点、理系論文では、解説を数式やデータで明示できる場合が多いです。特に新規性が強くて先行研究が少ない分野などでは、論文全体のボリュームは短くても、十分に博士論文として価値を認められます。
いずれにしても、研究分野によって論文の文字数には大きな違いがある、ということは確かです。
修士論文との比較
修士論文においても、理系では文字数の制限がないことが多いです。
その一方、文系では文字数が指定されているケースもあるようです。以下に一例を紹介します。
- 神戸大学(経営):20,000字以上
- 同志社大学(法学):本文だけで24,000~40,000文字
- 立命館大学(社会学):40,000文字以内、上回る場合は教員の承認を得ること
以上のように、修士論文は博士論文よりも短いです。
もちろん、修士論文と博士論文では「別物」なので、文字数だけの比較には意味がありませんが、参考までに提示させていただきました。
※修士と博士の違いについては、関連記事も合わせてご覧ください↓
▶博士号の難易度は?その難しさとすごさ…日本に何人【0.4%の人材】
▶博士課程に向いている人/向いてない人とは?性格や能力の特徴5つ
博士論文では文字数よりもクオリティが重要
当然ながら、博士論文において重要なのは、文字数やページ数の充実度ではありません。コンテンツの「新規性・オリジナリティ・質」といった側面が重視されます。
学士の卒業論文や修士論文は、指導教員のアドバイスのもと、IMRAD形式に準じてある程度の研究成果を示すことができれば、合格を貰うことができます。
その点、博士論文では、教授陣からの厳しい追及や質疑応答にも耐えられる「一人前の研究者としての論文」を完成させる必要があります。文字数を考えている余裕はあまりないかもしれませんね。
ただし、博士学生側も、数年間の集大成として提出するわけですから「あまりにも論文が短いと格好がつかない…」といった意地やプライドもあるかもしれませんね。質を追求し、丁寧な論文を書くことで、いつの間にか相当な文字数になっていることもあります。
いずれにしても、博士論文においては「文字数」という概念自体が、あまり重要性を持たないと言えるでしょう。
古い論文では分量が短いものも…
余談にはなりますが、アインシュタインの特殊相対性理論を提唱した論文などは、ほんの数ページしかなかったことで有名です。
一部の数学・物理学などの論文では文字数が非常に短いものも存在していますが、現代ではそもそも「先行研究」の量が膨大になっていることと、前述のIMRAD形式による論文の書き方が定着しているという理由から、論文のページ数は以前より長くなっている傾向があるでしょう。
まとめ
今回のブログ記事では、博士論文の文字数について解説してきました。
博士論文の文字数やページ数は研究内容や学問分野によって異なりますが、一つの目安としては10万字~20万字前後というところでしょう。
しかし、当然ながら博士論文における重要な要素は「研究成果と学問的な価値」です。実際のところ、博士学生として研究している中で「文字数やページ数」という部分はあまり気にする必要性も、その余裕もないかもしれません。
この記事が、博士論文というものをイメージする時の参考になっていれば幸いです。
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